2020年12月29日火曜日

視座を逆転する

視座を逆転させて、お客さまの立場になって考える。

自分がお客さまの立場だったらどうか、ということを考える。

どんなお芝居を見たいと思うんだろうか。


「予想を裏切り、期待に応える」 という言い回しがある。

人間というのはわがままなもんで、予想通りの展開には月並みの烙印を押す。

といって、期待の遙か上を行くものには拒絶反応を示す。

お客さまに受け容れられる作品を創るのは骨が折れる。

突き放したり、寄り添ったりと、忙しいことこのうえない。


ところで、テーマのことである。


世の中にはテーマが明確にわからないと不快になる御仁が一定数いる。

テーマなんざ、どーだっていいじゃねえか、と、こちとら思っとるんだが。

しかし、厄介なことに(お節介なことに)、

今回はあらかじめテーマが明示されている。

「平和」 がテーマであろうと、「動く」 がテーマであろうと、

弊社がこれまで採ってきた立場はこうだ。

お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!


たとえば「愛」 がテーマの芝居だったとして、

劇中で登場人物が「愛とはなんだ!?」 と正面切って叫ぶのはどうだろう。

たしかに、これほど明確な伝え方はないだろう。

これなら、メッセージは確実に客席まで届くだろう。

しかし我々はその手法を善しとしない。

客席のニーズはそこにはない、と弊社では考えるのだ。

テーマを直截的に申し述べることは、観客を馬鹿にしているとさえ思うのだ。


今回のようにテーマありきのイベントであれば、

テーマとなっているそのワードはセリフで語らず、

いや、むしろ禁句にするくらいがちょうどいいのだ。


お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!

大多数のお客さまは、実は語らずともテーマを悟ってくださる。

惜しくも乗り損ねた人が、観劇後にしつこく聞いて来る。

「テーマは何ですか」 とか、眠いことを云うのだ。


BGM : Lady Gaga 『Poker Face』

2020年12月26日土曜日

創作ならなんでもいいってわけじゃない

前回の年内最終宣言、やはり裏切りました。


演劇部員に告ぐ。

次回公演の脚本を鋭意執筆中であろう。

然しその前に、弊社の企業理念について申し述べましょう。

ご存知のように劇団ERAが板に掛けるのは自社制作の演劇台本に限ります。

が、ERA謹製であればなんでもいいってわけじゃありません。

よろしくない脚本はコンペで容赦なく却下します。


最低限セリフは意図通りに届いてほしいんです。

もちろん役者は、そのための努力をちゃんとしなきゃダメです。

声が小さかったり滑舌が悪かったり、

それでもいいんだそれが自分らしさだっていうのはナシですよ。

努力という言葉がダメなら工夫と云ってもいい。

役者の自己満足で終わってはダメだと思います。

お客さまの快適のことを第一に考えてください。

セリフが聞きとれないのって、かなりなストレスでしょ?


意図した通りにセリフが届くように、

脚本の段階から配慮してほしいんです。

セリフのすべてに計算を施してほしいんです。

舞台は日常の延長線であってはならないと思ってます。

「静かな演劇」というものがありますが、

あれだってよっぽど計算されつくしてるんですよ。

教室で友だちとするフッツーの会話をそのまま書いてはいけない。

そんなの高校演劇にでもやらせときゃいいんです。

 

言葉として卑俗なもの、生活感が出すぎるものは避けましょう。

たとえば<スマホ>というワード。

LINE>とか<既読無視>とかにも、抵抗を感じましょう。

だって、自分たちの創造物には美しくあってほしいじゃないですか。

というか、もっと客層を意識しましょうよ、という。

そういう限定的な言葉って、想像の余地がないでしょう。

ターゲットというか、対象とするお客さまの人数が減ってしまうし、

なにより表現の幅が狭くなってしまいます。

iPhone持ちで、LINEやってて、既読無視されるひと、限定になっちゃう。

そこに当てはまる、ちょっとのひとにしか刺さらなくなっちゃう。

だから避けなければならないと思ってます。


そういう意味で云っても、内輪ネタは絶対にやっちゃいけないんです。

お客さんがみんな同じムラの住人じゃないことは肝に銘じるべきです。

CMネタを延々と垂れ流しする舞台がありましたが、

あんなの木戸銭を取ってまで見せるもんじゃないですよ。

演者と観客に共通する文化ってCMしかないのかって、

寂しいというか、送り手の意識の低さに呆れますわ。

みんながみんな同じ文化的背景で生きてるわけじゃない。

そういうのを入れた途端に、その芝居は下品になるんです。


BGM:Newspeak「Jerusalem (Acoustic Session)」

2020年12月23日水曜日

冬期休業中の課題

12月の更新も滞ってしまいました。

2020年の活動日誌もこれが最終です。

たぶん。

本日、「柏二番街時計」の撮影に参りましたが、

肝腎の撮影風景の写真を失念しておりました。

せっかくのブログネタでしたのに惜しいことをいたしました。

今回も午後二時の枠を頂戴することができましたので、

柏へお立ち寄りの節は、午後二時を目掛けて、二番街にお越しくださいませ。


さて、表題にございますとおり、部員には冬休みの課題が出されております。

三月に控えております公演のネタ出しでございます。

こちら例によって学外での公演です。

校内公演をないがしろにしているわけではありませんが、

実情として学外での活動がメインになっていることは確かです。


この公演ですが、20日の公演と21日の公演とは、そもそも別の企画です。

20日「平和Kyo演」@柏市民文化会館小ホール

21日「かしわンダーパレード」@パレット柏ほか

ただ、弊社の現在のポテンシャルを考慮いたしまして、

今回は両日同じ演目でご機嫌を伺おうという次第でございます。


とはいえ、やはり別企画ですので、要求されているテーマが異なります。

20日は「平和」で、21日は「動く」です。

想定される客層も異なります。

前者は比較的アダルトな層。後者は高校生が多くなりそうです。

しかも、ご時勢柄、自由入場というわけにはいかんでしょうな。 

与えられている時間が、双方ともに20分なのは幸いでした。


ウチの演劇部には天才などおりません。

みんなで知恵を出し合って脚本を創作します。

エチュードを繰り返しながら、稽古場にユラリと立ち昇る蒸気(ゆげ)を、

すかさず割り箸で絡め取り、形にしていきます。

今回もまた同じ手法で創っていきます。

がんばっていきまっしょい!

BGM:Newspeak「24/7 What For」

2020年12月3日木曜日

次回公演がすごいことになってる

 今日は臨時休校です。

東武野田線がストップしたもようです。

あ、そもそも期末テスト前なので、部活動はありません。

 

久々の更新です。

ここのところなんやかんやで、

忙しさにかまけてサボっておりました。

そうそう、先週は県大会もありました。

 

今季、私たちは県大会どころか、地区大会にも出場しませんでした。

いいえ、出場したくても、できませんでしたといったほうが正確です。

新型コロナの影響で、思うように部員の獲得ができず、

新入部員はいまだに2名。

先行き不透明なまま、実はいまだに活動はだましだましです。

あるいは、おっかなびっくりです。

 

しかし、そんななか、県大会が開催されたんです。

しかも本校からほど近い、柏市民文化会館で。

http://www.kashiwa-sbk.com/

感染症対策に万全を期して、無観客での実施でした。

(スタッフもキャストも当然マスク着用です)

年明け1月には、ここで南関東大会が開催されます。

 

これは私たちにとっての福音になるのでしょうか。

このまま「だましだまし」でもいいから、

新しい生活様式に合わせた上演形態でもいいから、

演劇を発表する機会が得られるのなら。

 

劇団ERAとしての次回公演が決まっています。


2021/3/20()「平和Kyo演」@柏市民文化会館小ホール

2021/3/21()「かしわンダーパレード」@パレット柏ほか


すごいことになってます。

「平和Kyo演」は、柏市から機会をいただきました。

柏市の平和都市宣言35周年を記念しての催しです。

「かしわン」は、中止になった夏の野外演劇祭をこのタイミングで。

柏二番街商店会のバックアップをいただいています。

20分程度の創作作品を上演する予定です。


しかし、演目はもちろん、出演者も確定していません。

むしろ、出演者を絶賛募集中なんです。

キャスト2名では、サビシイではありませんか。

せっかく与えられたチャンスです。

本校の1年生で、部活動に参加し損ねた人はいませんか。

2学期の成績が出てからで構わないですよ。

入部するタイミングを逃してしまった人で、

かつ、成績に不安のない人。

一緒に演劇作品を創りませんか。

演劇部顧問まで、ご一報ください。

2020年9月28日月曜日

今日の講義は「作劇法①」です

映像向けのシナリオ術なら、書店の棚にたくさん並んでいるのですが、
演劇の脚本についての指南書というのは、まずほとんど見当たりません。
それでも何冊かの良書を探り当て、
十何冊の中から、最大公約数を弾き出しました。
(遠回りもずいぶんしましたけどね、うん)
今日の活動は「作劇法」です。しかも「①」です。
「②」は明日やる予定です。
今日の講義で使った資料を以下に掲載します。

大前提としてなぜ演劇なのか
そもそも、その物語を物語るのに、
演劇が最適の表現手段であるかどうか。
この部分をきっちり考えなければならない。
そもそも舞台というものは時間も空間も制約だらけなものである。
こんなガンジガラメの手法をわざわざ選ぶ意図がどこにあるのか。
それでもなお演劇という手段が有効であるか。
映画の方がいいんじゃないのか。
漫画やアニメーションの方がいいんじゃないのか。
小説の方がいいんじゃないのか。

創作脚本というもの
定義づけが間違っていたら済みません。
「戯曲」というのは上演不可能であっても構わない、
いわゆる文学として位置づけられるもの。
でも、われわれが創作するのは「脚本」である。
「脚本」は上演のための素材、設計図のこと。
あくまで上演することが目的だから、
カンパニーの中で共通理解が得られれば、体裁など関係ない。
そんなもんにはこだわらなくていい。
こだわるのは、そこじゃない。
大事なのは、書かれていることが舞台上で実現できるかということ。
技術的に無理だったり予算的に無理だったりしないか。
場所や時間、人数的な制約はないのか。
倫理的な問題もクリアする必要がある。
ところで、舞台上では何が無理なのか、
何が可能で何が不可能かを知る必要がある。
逆に言うと、不可能だと思われていることをやってのけること、
それは演劇の可能性を拡張するということである。
このチャレンジをしない若い人たちが多いよね。
もちろん禁忌にはそれなりの理由がある。
ヘタに破ってしまうと、そのホールに出禁を喰らう。
遵法精神に則って、逸脱できるところはおおきく跳ねる。
劇団ERAが毎回のように演劇実験を試みるのは、そのような理念による。

登場人物の典型がある
観客が感情移入しやすい人物を造形する。
高校演劇においては主人公はやはり高校生がテッパン。
登場人物はその親、教師あたりか。客層に合わせる。
主人公が成長(変化)する過程を描くのが物語である。
主人公は何かを喪失している必要がある。
というか、人間なら誰でも不完全なところがある。
本人の性格的な欠点でもよい。
たとえばやさしさが欠けている。
取り巻く環境に欠けたところがあっても良い。
たとえば平和が欠けている。
これを完全なものに回復するために主人公が動く、
その過程に物語が生まれる。
主人公の行動の動機は、ひとつでなくとも構わない。
主人公が物語を通して一番大きく成長(変化)する。

リアルなものはグロテスクである
大衆の耳目を集めるエピソードというのは非日常の中にある。
のほほんとした日常には興味深い刺激的な事件は起こらない。
しかしながら、リアルを舞台で再現するのは悪趣味ですらある。
役者は嘘をつかなければならない。
「ほんとうのこと」と「人が『ほんとうらしい』と感じること」とはズレている。
物語は所詮は嘘だし、嘘で構わない。
けれどリアリティのある嘘でなければならない。
嘘はうまくつかなければならない。
リアリズムなんて邪魔な考えは捨てるべきである。

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今日はその他に、音響・照明の講習会も実施しました。

2020年9月15日火曜日

がち!

本日の舞台鑑賞会(映像ですけどね)の復習をしましょう!
演劇にはさまざまな「がち」が存在します。

まず冒頭から
ソファに座ったかと思うとスグに立ち上がりがち
かと思うとソファの周りをぐるりと回ってまた座りがち
ぐるぐるしながら会話を続けがち
冒頭の会話であくまで自然に状況が説明されがち

照明でエリアが区切られがち
エリアからエリアを移動する時にMEをあおりがち
移動して照明が決まると同時にセリフを発しがち
いわゆる時間と空間を軽やかに飛び越えがち

オープニングでダンスしがち
ダンスに傘とか使いがち
役柄の関係性をここで紹介しがち

少年は少女と出会いがち
「ひょんなこと」が起こりがち
脇役にコンビとかトリオとかが登場しがち
ストーリーとは関係無く細かい笑いを欲しがりがち
悪ノリしがち
ちょっとしたことで強く怒りがち
しかも相手役も同じテンションで怒ってきがち
MEがさらに双方の怒りを増幅しがち
結果として役者の台詞が聞き取りにくくなりがち

昔はヒロインやってたヒトが悪役を演じがち
制作で入ったヒトが役者に転向しがち
しかも主役を演じがち
若手女優をゲストに迎えがち
しかもこれが初舞台

そしてクライマックス
激しく時間と空間が行ったり来たりしがち
せわしなく役者がデたりハケたりしがち
照明・音響のスタッフはてんやわんや
観ているこちらの方が焦りがち
万感の思いを込めたシーンは
セリフではなくむしろ所作で表現しがち
抱きしめようとした腕が一瞬ためらいがち
天国に召される時の照明は目潰しを使いがち

後日譚
脇役の会話が長く続くと思ったら主役が着替えて登場しがち
ラストはもちろん音響をあおりがち
役者は所作で会話を続けがち
緞帳が降りきるまで



ちなみに
これってどこの演劇集団のなんという作品かわかりますか?
(あ、演劇集団って言っちゃった)
いいぇ別に他意はないんですよ。
ホントに。
こういう手法はウチの作品でも何度も試しましたからね。
それこそ何度もね。
むしろ好きなんですよ。
うん。
1年生にわかってもらえるかなぁ。


はやく活動再開してくれ!


2020年9月9日水曜日

嫁入り道具だど

ウチらは舞台装置も作ります。

こんなのあたりまえだと思ってたんですけどね、

イマドキは舞台装置を外注する学校さんもあるらしいんで、

一応アピールしておきます。

新入団員はいずれ工具類を個人で揃えることになります。

部室にもいくつか置いてありますが、

ここはやはり自分専用の道具を持ちましょう。

自分専用だと、やはり道具に愛着が湧きます。

なにより道具の扱いが丁寧になります。

結果として技術の向上につながります。

というわけで工具類の紹介記事です。

まずはナグリを入手しましょう。
町のホムセンでは扱ってないかもしれません。
舞台屋槌(ぶたいやつち)で検索してポチるのが早道です。
が、しかし高額商品のため「絶対これじゃなきゃダメ」というもんでもありません。
ひとつだけ注意点がありまして、
似たような商品に釘を打つ面に凹凸が入ってるのがあるんですよ。
それだと釘を打ちこんだ時に部材に跡がついちゃうんです。
そういうのじゃないヤツを買いましょう。
反対側はバラシの時に使う簡易的な釘抜きになってますね~うん。
まあパイプハンマーとかいうので十分なんじゃないですか。
あるていど頭に重さがある方が逆に使いやすいですよ。
重さで打ちますんでねえ。
ちなみにナグリの下にあるのは豚革の作業用手袋ですね。
軍手だと滑るんですよねぇ~。
ちょっとぐらいの熱なら平気ですからねぇ~。
灯体も怖くないですよ。シュートの時にも使いますよ。
というわけで豚革を愛用です。


ノコギリですね。
ノコって呼んでますね。そのまんまですが。
安全性と携帯性を考えたらこれ、折り畳み式ですね。
木材をカットするのに使いますのでそれ用のものを選んでください。
画像はちょっと銹びが出てますね。
年季が入ってますよ、もう15年は使ってます。

ドライバーは+(プラス)があればいいですね。
グリップにある程度の直径があると回し易いですよ。
本当はもっと太いのを持ってるんですけどね。
今日はちょっと見当たらなかったみたいです。
自分の工具はちゃんと整理しとかなきゃいけませんね。


カッターはこのぐらいの大きさのものを。
折る刃式のカッターですね。
薄ベニぐらいならこれでザクザク切っちゃいます。
下段のようなダイヤルで刃を固定するものがいいですよ。
そのほうが切る時に安定します。
てことはつまり安全です。


これも手に入れてください。
メジャーです。
目盛りをよく見てからレジに向かってくださいね。
この画像じゃわかりませんが尺スケールが付いてんですコレ。
尺とメートルを併記してあるんですね~、うん。
演劇界隈ではいまだに尺で長さを言ったりしますからね。
舞台の上だと尺の方が便利なんですよ、実際。
この前の稽古で役者ひとりあたりのスペースの話をしましたね。
あれが六尺四方でしたよね。
ええ180センチ四方ですからね。


曲尺(かねじゃく)とも言いますね。
さしがねなんて言いますね。
これがなかったら木材1本切れませんね。
こいつの写真を撮影するのを忘れてました。
工具袋に入ってなかったんですよ。
ということで絵を描きましたけどね~、うん。




肝腎なのは道具を揃えることじゃないんです。
道具は使ってこそ初めて本当の価値が出ます。
そのために正しい使い方を身に付けてもらいます。
10月に入ったらそういった「稽古」もやっていきましょう。
正しく合理的なフォームで安全に効率の良い作業を実現します。
私の祖父は宮大工やってましたからねえ。
幼時からの英才教育ってやつですね~、うん。

2020年9月7日月曜日

史上初をやっております

たいしたことではありませんが…。
振り返れば劇団史上初。
これまでやってこなかったことが異常。

まず、前回のブログでもお知らせしましたとおり、
劇団ERAは秋季地区発表会に参加しません。
新型コロナがこわいからということももちろんあります。
でもそれでボイコットするわけじゃぁない。
いまはまだ客前に出せる状態じゃないんです、
ホンットに。
とにかく未経験の新人ばかりが集まりましたから。
ヤル気だけはあるみたいなのが救いです。

で、今回ですね、画期的なことをしまして、
練習計画表なるものを作成したんです。
この9月はそれにしたがって稽古をすすめております。
実はこれが劇団史上初となります。
大会に出るあてもないままに、ひたすら基礎練習の日々です。
逆にそのおかげで副産物がありました。
ゆったりと毎日を過ごせてるんです。
計画表を作ったのも初ですが、
こんなに稽古そのものが目的化するのは初めて。
なにより気持ちに余裕があります。

もちろんこれまでも大会前にはスケジュールを組みました。
でもそれって大会の日程から逆算して決めた、
いわばノルマをこなすための計画。
ひしひしと実感してます。
今までどんだけ忙しかったんだろう。
ずっと外発的な圧力に追われてきたんだなぁ。
自分たちの意志とは関係なく、
演劇「させられて」いたんじゃないか。

新型コロナの影響で8本の公演がフイになりましたが、
(8本だぞ8本!ひとつやふたつ大会がなくなったぐらいで泣いてんじゃねえよどこかの運動部さんよ)
たしかに現役部員たちには不幸なことですが、
逆に「演劇部」の活動の在り方を考え直す機会になりました。

階段の一番下から一段ずつレベルアップできるよう、
毎日のメニューを月単位で組みました。
初歩の初歩、基礎の基礎から、徐々に身につけられるように。

ひとつひとつの練習に入る前には、
そのメニューを通してどんな能力を身につけて欲しいのか、
以前にやったメニューとどうつながっているのかを、
明確に伝えるようにしています。

ようやくよちよち歩きを始めたばかりで、
現役が成長を実感することなんてまだまだ先のことでしょうけど、
薄紙でも重ねていけばいつか分厚くなることを信じて。
がんばっていきまっしょい!


2020年9月1日火曜日

ボイコットというわけじゃないけれど

やっぱりお客さまを第一に考えちゃいますね。

なぜなら自分たちも最初は客席の側にいたから。

自分たちが舞台から受け取ったものを、

今度は別の誰かに舞台で手渡していく。

それが私たちの仕事だと思っています。


だから下手な芝居は打てない。

高校演劇だからって甘えは許されない。

「♪稽古不足を幕は待たない~」と歌った人がいますけどね、

でもその幕は上げちゃいけないんです。


私たちは圧倒的に稽古不足です。

休校措置が解除されてもしばらくは部活動が解禁にはなりませんでした。

現在いる部員たちも本格的に始動したのは夏休みが明けてからです。

脚本を創作するところから始めると9月末には到底間に合わない。

じゃあ既成の台本を探せばいいのではとおっしゃる?

魂を売り渡すわけには行きませんよ!


もうちょっとだけ時間をください。

劇団ERAは秋季地区発表会を棄権します。



2020年8月30日日曜日

もうアスカじゃない

昔話で恐縮です。

劇団のレパートリーに『MELTING POINT』というのがあります。

2007(平成19)年の秋季地区発表会で上演した作品です。

もちろん創作脚本であることは言うまでもありません。

主人公は天馬アスカという名の高校生。

いきなりですが、彼女の正体はアンドロイドです。

(当時はそういうジャンルの作品も板に掛けてたんですよねぇ)


「天馬」という名でご想像の通りなんですが、

このアスカは、天馬博士の亡くなった娘・明日香をモデルとして造られました。

ちなみに博士はアスカをサーカスに売ったりしません。

死んだ明日香から「記憶」を取り出して、

アスカの「人工知能」にラーニングさせています。


なんやかんやがありまして物語の終盤。

人類を救うためアスカは暴走を始めた原発の炉心に突入して行きます。

自らのボディの融点=melting point も顧みずに。

結果、人類の危機は去り、アスカは融解してしまいます。


ラストで天馬博士の助手である飯田橋が言います。

「また造り直せばいいじゃないですか。バックアップは取ってあるんでしょ?」

これに対して天馬博士が言います。

「技術的にはね。でもそのアスカは、もうアスカじゃない」


何年も乗りまわした愛車を廃車にしてしまったあとで、

たまたま同型の車輌を街なかで見かけたとしても、

そりゃたしかに懐かしいとは思うかもしれないけれど、

でもそれは同じ車ではありませんよね。

ちょっとぶつけてできたへこみ。

アクセルやブレーキのちょっとしたクセ。

機械にも個性があります。

単なる道具だと割り切ることなんてできないです。


あ、でもイズの再生には賛成です。


2020年8月4日火曜日

秋大について考えてみた

秋大を開催するという前提で、あれこれ考えてみました。


まず、参加者は全員がマスク着用。

これはいまや社会の義務ですね。

でも役者もマスクでってのはどうなんだろう。

いや上演中の話ですよ。

まぁそういう設定の芝居を書けばいいんでしょうけど。

個人的にそんな芝居は見たいと思わないんですよ。

キワッキワのキワモノですよ、そんなのは。

多くの人が言ってますが、新型コロナを扱った芝居なんて見たくもない。

観客はそんなもの舞台に求めちゃいないですよ。高校演劇じゃないんだから。

少なくとも、後世に残っていく芝居にはならないんじゃないかな。

希望的観測ですが、この状況はいつまでも続かない。

マスク芝居がスタンダードになる世界は来ないと思いますよ。

 

入館、退館は定刻を守りましょう。

ロビーなどで待機しない。

建物の外だからといって会館の駐車場にたむろすることもいけません。

集合する場合は、距離を保つ。無用なおしゃべり禁止。

山奥にポツンと一軒家ならいざ知らず、柏文は駅から徒歩圏内だし、近隣にお住いの方はいらっしゃるわけで。

高校生が押し寄せてきてヤイヤイやってたら、いい気がしませんよ。

そうなったら県大会や関東大会にだって、どんな影響を与えないとも限らない。

頼むから静かにしてくれって話ですが、この制御ができることが開催の前提です。

 

入場口、ロビー、お手洗いには消毒液を用意。

手洗いの徹底と消毒液の利用。これは日常的にみんなやってることですよね。

で、自分のハンカチ、タオルを用意すること。

アルコール消毒にアレルギーのある人は顧問に申し出ること。

会場内でもできるだけ不要な会話は控える。

当然ながら、安全のための指示は不要じゃないですよ。

そこは「大声を出して」ください。

リハ時には演出さんも声を出してください。

ただしガナリマイクを使っていいのは演出のみ。

次の学校にマイクをバトンタッチする時には消毒。

ロビーでの食事は禁止。長時間居座らない。

ホール内への飲み物の持ち込みを許可してもらう。これは会館側と交渉が必要ですが。

ただし、持ち込んで良いのはペットボトル等のフタつきの飲み物のみとする。

今回に限り、客席でも上演中を除き飲んで良いことにしてもらう。

 

ホール内は法令に基づいた空調設備の整備が義務付けられていて、柏文においてもホール内に十分な外気を導入するシステムが設置してあります。

しかしながら、リハーサルの切り替え時、ならびに本番の休憩時には、入場口や客席扉を開放し換気をします。

それだと、換気ができる一方でホール内の冷暖房効果が損なわれる恐れがあります。

ということは、自分で体温調整できる服装を用意する必要があります。

スモークマシンによる演出は、う~んどうなんでしょう。

やるのは構わないけど、思ったような効果は期待できないと思いますよ。

客席に降りる演出はタブーです。客席から登場するとかもだめです。

あ、客席はキャパの50%にします。

最前ブロックはそもそも潰します。それ以外の座席の50%。たとえば奇数番号の座席のみ着席OKとかにする。

楽屋も定員の半分で回していく。

除菌スプレーを噴霧する。壁、床、座席、etc……。どこまで消毒すればいいのか。

このへんも会館側との相談ですよね。

 

以下の場合は参加を見合わせてもらいます。

検温は義務です。37.5℃以上の熱がある人は参加しちゃだめです。

過去14日以内に、新型コロナウイルス感染症が引き続き拡大している地域・自治体に滞在した生徒・顧問。(これにはちょっと問題がありまして、そもそも都民はどうしましょうかってとこなんです。サマフェスやれるんなら大丈夫ってか?)

過去14日以内に、身近な人(家族、友人、学校の人など)で、新型コロナウイルスに感染した人、もしくは感染の疑いのある人がいる生徒・顧問。

居住する自治体から自粛の呼びかけが出された生徒・顧問。

所在する自治体から自粛の呼びかけが出された学校の生徒・顧問。

 

ということはですよ、本番直前になってまたまた上演不能っていうケースも考えられるってことですよ。そこを覚悟しておいてもらわなければいけません。

会館側から(柏市から?)要請が出たら、秋大そのものがおじゃんになりますけどね。

問題なのは、ある学校のある生徒が上記の要件に該当してしまった場合、顧問が毅然として撤退命令を出せるかどうかです。厳しい言い方ですが、情にほだされて上演してしまうようなことがあっては困るんです。

後になって感染者の施設利用が判明した場合には、利用者全員がヘタすりゃPCR検査ですからね。

ダブルキャストを用意しておく?ご自由にどうぞ。個人的には感心しませんけどね。

そこいらを生徒にも納得させたうえで、初めて「参加」なんだということです。


どのような対策を講じているかを、あらかじめ演劇部部員の保護者にも提示しておく必要があります。そのうえで保護者に判断してもらう。

高校生が自分の判断で参加を決めちゃいかんですよ。

そりゃ自分に多少のリスクがあっても演劇したいって言いますよ。

部内で同調圧力が働かないとも限らない。というか同調圧力がない部活って部活じゃないんじゃないか?高校生が自主的に「決める」ことなんてできませんよ。

保護者も納得したうえでの参加でなければいけません。


とにかく顧問教員も会館のスタッフさんも、初めてのケースです。

生徒のみなさんの協力がなければやってけません。


2020年6月23日火曜日

演劇部をプレゼン

問題です。
わたしたちは今、何を学ばなければならないのでしょうか?
授業で教わることだけで、十分でしょうか?
与えられた問題の答えを導き出せればそれでよいのでしょうか?
詰込み型の教育は効率が良いですが、
柔軟に物事を考えるために必要な能力は身につきません。
高校生活をより価値のあるものにするためにも、
部活動に参加することをおすすめします!

ところで、
画一的な価値観を意に介さず、
評価基準を自分で作り、
自分で「美しい」と認めるものを追求するのが
アカデミズムの世界です。
これからの時代に求められているのは
アカデミズム的人材です。
詰込み型教育では育たない人材です。

さて、
チームワークやコミュニケーションといった
標準化された基礎的なスキルは、
極端なハナシ、どのクラブでも学べます。
それでは第2問。
画一的な価値観を意に介さず、
評価基準を自分で作り、
自分で「美しい」と認めるものを追求することができる
クリエイティビティに満ちたクラブはどこでしょう?

それは演劇部です。

本校の演劇部では、
上演台本の創作(現在57作品)
大道具や小道具の製作
効果音やBGMの製作
芝居の演出
音響・照明の操作
すべて自分たちでやります
最高のクリエイティビティを備えているのは演劇部だけ
 




ですが、
困ったことに
3年生が引退したため
現在部員がゼロ
危機的状況にあります。
そこで新規メンバーを大・大・大募集です。
こんな人は要注目です!
◎友だちをいっぱい作りたい
◎体を動かすのが大好き(実は運動部です)
◎音楽が好き踊るのも好き
楽器ができる,曲を作れる
音響照明機材を使ってみたい(プロ仕様の機材揃ってます)
◎将来その道を目指している
◎そしてもちろん芝居が好き

中学の部活歴は不問です。
むしろ初心者大歓迎なんです。

活動場所は大学1号館401教室です。
部室は402教室です。
不定期で中庭体育館にも出没します。
休日は富里近隣センターを利用することも。
 (柏駅東口より徒歩圏内)

演劇部には2つのコースがあります。
Aコース
正式な部員として公演の主軸となり活動する
Bコース
サポートメンバーとして裏から公演を支える

新規オープニングの募集につき、活動日・活動時間は、
応募者と話し合って決定したいと思います。

あなたの青春を
演劇部で燃やしてください!


2020年6月10日水曜日

劇団の活動の一端ですが

【脚本について】
劇団ERAは創作脚本を上演する演劇集団です。
これまでに50本以上の作品を生み出してきました。
創作の方法は作品ごとに事情が異なります。
ひとつとして同じ生まれ方をした作品はありません。
これからもそうやってあれやこれや試行錯誤するはずです。
まず集団創作であることは間違いありません。
誰かが自室にこもって書いたような作品にはなりません。
仲間が稽古場に集まって動いていく中で、
‟熱気”のようなものが床からぼわっと立ち昇る瞬間がある。
そこをすかさず捕らえて脚本にするんです。

【2.5次元について】
そもそも旗揚げのころといいますから2000年代初頭です。
ウチの脚本には‟漫画原作”があるというシャレがありまして。
たとえば演出するときに、
「単行本の14巻57ページの表情ってそうだったっけ」とか
「第37話のカラーページの感じが出せないかナ」なんて。
だからウチがタカラヅカに並ぶ2次元演劇のパイオニアなわけで。
でもベルばら的なものは演りませんけどね。
ちなみにウチでは演出も合議制なんですよ。
とにかく天才とか権力者は不在なんです。

【再び脚本について】
ベルばらは演らないと書きましたが、
ロミジュリも演らないんですよ。
ウチらの演りたいものはそこじゃない。
代々の劇団員たちはその点では意見が一致してました。
でもまぁほとんどの高校演劇部はそうなんじゃないかな。
演るとしたらシェイクスピア作品のパロディとか。
有名な作品をアレンジした作品って枚挙にいとまはないです。
ウチにも『贋作 春琴抄』という作品がありますね。

初期作品にはSFチックなものが多いですね。
死神や魔法使いなどもそのころはまだ登場していました。
それが徐々にそういう‟便利な設定”を嫌いはじめ、
むしろ自分たちの創作に規制をかけはじめ、
やがては‟演劇実験”と称して遊びはじめます。
ある時は登場人物の一人が冒頭から終幕まで一切喋らない。
またある時は登場人物の一人が終幕直前まで舞台装置の下敷き。
音響効果を一切使わないプランだったり、
プレーンな照明だけで勝負してみたり。
舞台の可能性を拡張するという命題を追求する高邁な実験です。
しかしこれが他校には理解されない。
色モノだと認識されているらしい。
困ったモンですが。

2020年5月9日土曜日

アフターコロナの演劇部

つらつら考えています。


今回の件で何が煩瑣ったいかって言ったら、
終わりが見えないってことですよね。
せっかく学校が再開して稽古ができるようになっても、
いつまた「緊急事態宣言」が発出されるかわからん。

公演に向けてそれまで積み上げてきたものが、
エライ人の眉一本で潰れてしまうんです。
(それはチト言い過ぎか)
私たちもここまででイベント4つ飛ばされてます。
『捨てられた島』は上演可能まで漕ぎ着けていました。
そこに費やした時間とカネは戻ってきません。
『13階の月光』の脚本創作にかけた労力は全部ムダになりました。
もちろん何の補償もない、あるわけがない。

これまでの稽古はだいたい↓こんなカンジでした。
放課後、部員が稽古場と呼ばれる教室に集合。
校内公演に備えて完全遮光、窓の開閉は不可。
基礎練習のルーティン、即興芝居、台本の小返し。
車座になって一日の反省。
狭い教室に毎日3時間も籠って練習してました。
(休日は9時間ですわっっっ)
集・近・閉の三点セット成立です。

従来の稽古スタイルをリノベーションしなけりゃいけないんですね。
これまでのようなやり方では立ち行かないのです。
固定観念の殻を喰い破るのです!
そう!土佐嵐高校の番場蛮のように!


キーワードは「お子様ランチ」です。
あるいは「ミックスグリルランチ」でもいい。
だって、エビフライも、スパゲティも、ハンバーグも食べたいじゃないですか。
ライス・日替わりスープ付きだったらなお嬉しいじゃないですか。
お腹いっぱいのてんこ盛りでなきゃ満足できない。

われわれの目指す方向はこれです。

ロックがやりたい! 歌も唄いたい! カッコイイ格闘技も! ダンスも!
そして忘れちゃいけないもちろんお芝居も。

んで、これらを組み合わせて1本の作品にするってどうですか。
「♫やりたいこと やったもん勝ち」の贅沢フル三昧で行きましょう。




地味な幕の内弁当じゃなくってね。
やりたいのはあくまで「ミックスグリルランチ」です。

これがどうしてアフターコロナ時代の演劇なのか。

高校演劇のレギュレーションでは1作品の長さは60分。
これを3つのメニューの組み合わせと考えます。
1ユニットがおおむね20分の計算です。
で、春・秋の発表会にはこのユニットを3本組み合わせて挑みます。
 第一部 ショートコント50連発
 第二部 歌謡&ダンスショー
 第三部 劇団ERAオンステージ2020

これを「明治座システム」と命名します!

あ、「8時だョ!全員集合形式」でもいいんですが。
種目(メニュー?)はなんでもいいんです。
ただメインはお芝居でなければならない。
ここだけは譲っちゃいけないですね。
だって、演劇部ですから!

ユニットに分割することで種目ひとつあたりの人数が少なく済みます。

小人数で稽古できるからナニかと小回りが利きます。
個人でこなせる練習は自宅に持ち帰ってやってもらう。
ユニット単独での発表機会も校内公演レベルなら比較的自由に設定できる。
1単位ユニットの上演時間が短いので複数回の公演も視野に入れて。

各ユニットに共通させるのは、

20分間で演者のデハケをなるべく多くすること。
舞台に同時に上がっている人数をなるべく少なくすること。
そして3本とも同じテーマに貫かれていること。
いぇ、制約が多いのってガイドラインがあるってことなんで、
創作の助けにこそなれ障害にはならないんですよ。
(こそ-已然形の逆接用法)

これまでのように60分かけて「おはなし」を物語るのでなく、
表現の断片をズラリと並べるスタイルです。
ジグソーパズルのようにパーツを組み合わせることで全体像が見えてくるシステム。
いわばイメージのコラージュ。
もうアンケートに「テーマはなんですか?」とは書かせない。
テーマが見えないなんてなんてあなたはおバカさん!
目指すのは脱・ドラマ演劇です。

2020年4月22日水曜日

あしたのために(その4)

=母音法=

この通信教育「あしたのために」は、
拳キチこと丹下段平さんの発案によります。
鑑別所に入れられた矢吹ジョーに、
左ジャブの打ち方をハガキで伝えました。

呼吸のコツはつかめましたか?
初めは手探りでいいんです。
なんとなくこんなかんじかな、で大丈夫ですよ。

よく演劇というと、
「わたしは滑舌が悪いからムリ~」
なんて尻込みする人がいるんですが、
もちろん滑舌がいいに越したことはありませんが
セリフの一音一音を粒立てることの方が大切かなって思います。
「一音落とす者は去れ!」(by劇団四季)という格言もありますね。

五十音表を意識的に読んだことはありますか。
ぜひ声に出して読んでみてください。
日本語の母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つです。
それ以外の音も子音と母音とでできています。

では、言葉を母音だけで発音してみましょう。
え、と、つまりこういうことです。
「はじめまして」を「ha-ji-me-ma-shi-te」とローマ字で書いてみます。
ここから母音を抽出すると、「a-i-e-a-i-e」となりますね。
「はじめまして」なら「アイエアイエ」と発音するんです。
口の形を意識してください。

それでは練習してみましょう。

1)ゆるやかなリズム
2)やさしい音
3)流れる水と、噴き上げる水

いかがですか。
うまく母音だけを抽出できますか。
1)「ウウアアアイウウ」
2)「アアイイオオ」
3)「アアエウイウオ、ウイアエウイウ」

自分でも課題を見つけて発音してみましょう。

母音のみを発音したあとに、
もとの語句を改めて読んでみてください。
はっきりとして聞きやすい発音になっているはず、です。
たぶん。
初めは手探りでいいんです。
なんとなくこんなかんじかな、で大丈夫です!

ストレッチ動画はご覧になりましたか?
外出自粛が叫ばれています。
適度な運動は大切です。

何事も信じて継続することが肝心です。
あしたはどっちだ!


2020年4月21日火曜日

三密を避けたうえでの上演

え~とですね、
ウチら劇団を名乗ってますが、
その実態は言わずと知れた高校の演劇部です。
正式名称が長い(16字)ということもあって、
普段は劇団ERA名義で活動しています。
でも2002年の旗揚げ以来、
明日の演劇界のエースはウチらや!
という気概を持ってやってきました。

えぇ、もちろんわかってますよ、
演劇を本職としているプロに敵うはずないんです。
所詮は必死さ・真剣さが違いますから、
そこはリスペクトしてるつもりです。
「学生」という逃げ場があるウチらは、
やはりどこかで甘えがあるんです。

今回のことで演劇界隈がどうなってしまうのか、
逃げ場のない人たちはコロナ以後をどうやって生き抜くのか、
まったく予測がつきませんけども、
ウチらはウチらのできる範囲で演劇します。
ない頭を振り絞って考えてみました。
これまでの活動の中で、プロの方から学んだことなどを踏まえて。

え~まずは、習近平……?
いやもとい、「集・近・閉」な状況がダメなんですよね。
いわゆる三密というやつですね。
これまでのスタイルは全否定ですよ。
それでは、普段の稽古場である401教室での校内公演を想定します。

1)集
 完全チケット制を導入し、複数回の上演を行います。
 各回10名程度にお客さまを限定します。
 お客さまにはあらかじめマスクの着用をお願いします。
 また入場時には手指の消毒をお願いします。

2)近
 客席として置く椅子を2mの間隔にします。
 ステージと客席の間隔を確保します。
 役者同士が密接しない演出を採用します。
 そういう脚本を創作します。簡単に言うなよオイ!

3)閉
 暗幕は引きますが完全遮光はしません。
 照明効果を必要としない脚本を創作します。だからオイ!
 教室の窓を開けて換気に努めます。

開放された空間ということなら、
中庭で上演するという手もアリですか。
でもそれだとお客さまの密を避けることが難しいか。
もっとも集まれば、の話ですがね。
照明が使えないというなら、音響には凝りたいですねぇ~。
これまで以上にね。

あと、これが一番大事かなと思うんですが、舞台装置のクオリティ。
室内が明るくなるということは、粗が隠せないということですから。
テキトーな舞台装置にお客さまの意識を持って行かれないようにしないと。
近くに寄っても違和感のないリアルな舞台装置を目指します。
これまで以上にね。



発声練習とか、完全に屋外でやらなきゃあかんやつですね。
ソーシャルディスタンスを保ちます。
がんばっていきまっしょい!

2020年4月14日火曜日

あしたのために(その3)

=発声=

さて、呼吸のつぎはいよいよ発声です。
すっと吸って、止めて、細く長く吐いて、また止めて。
できるようになりましたか?

ひとつ言い忘れておりましたが、呼吸は腹式をこころがけてください。
横隔膜を下げることで肺を膨らませてください。

足を肩幅よりちょっと広めにして立ちます。
立位体前屈ぅ~のようなレベルまで曲げることはありませんが、
上体を前に倒しながら吸うといいみたいですよ。
自然と深い呼吸になるみたいです。
声の材料となる空気をたくさん体内に取り込みましょう。

カラダの緊張は強からず弱からずニュートラル。
いわゆる脱力というヤツです。
よくワークショップに参加するとやらされるんですが、
床に寝て脱力するやつですね、あれが個人的に苦手でして、ええ。
「脱力してください」って言われると、かえって力が入っちゃうんですよね。

カラダが緊張しているときには、声帯も緊張しています。
そのままムリに発声するとのどを痛めてしまいますよ。
ウオーミングアップなしでいきなり全力疾走したらダメでしょ?

というわけで、まずはじめにM音(えむおん)というのをやります。
息を細く長く吐きながら、鼻腔にM音を響かせていきます。
イメージは低音で鼻歌を歌うカンジ?
鼻腔で響かせた声はよく通ります。
リキまずに客席に届く声が獲得できるはずです。
 のどからの発声しかできない人が、
 必死に大声を出そうとガンバッてるの、
 聞いててキツいっす。
このM音ですが、お風呂に入ってる時にやるといいですよ。
湿度の高い場所でやると、のどにやさしいみたいです。

小声で子守唄を歌うのもおススメです。
赤ちゃんを寝かしつけるようにやさしく歌ってください。
小声で歌うのは童謡が適していると思います。
個人的には「赤とんぼ」を好んで使っております。
リズムは自分の呼吸に合わせてしまって構いません。
ただし音階だけは正確にお願いします。
これ、セリフ回しがよくなるらしいです。

さて、というわけで、今回の通信教育は「発声」でした。
外出できない日々が続きますが、家の中でできることをやりましょう。
あしたはどっちだ!


BGM:FOURLEAVES『ODORIKO』

2020年4月11日土曜日

あしたのために(その2)

=身体訓練=

呼吸の話をする前に、声帯について触れなければいけませんでした。
みなさんの中にはご存知の方もござりましょうが、
声帯って小さい筋肉なんですね。
だから使う前に(声を出す前に)ウォーミングアップする必要がある。
カラダ全体をあたためる必要があります。
具体的には柔軟体操ということになります。

劇団ERAにおいて柔軟体操というのは、
矛盾した言い方みたいですけど、
体を柔軟にするのが目的ではありません。
自分の体と対話するために行なうものです。
体のすみずみに意識を向けることで、
やがて意識的に動かせるようになります。
意識的に動かすことで体の各部位が協調してきます。
そしてその結果として柔軟性が獲得されるのです。

無理をしてグイグイ曲げたりしては筋を痛めます。
また、激しい筋トレも必要ありません。
それはそれで目的が別にありますけど、
私たちの演劇には無用のものです。
それらは自分の体をモノとして扱うことです。

劇団では以前から以下の動画に合わせて柔軟体操をしてます。
よかったらご覧ください。

【運動しない方も必見!MeseMoa 式柔軟体操。】

https://www.youtube.com/watch?v=FF-hiOzUCYs




2020年4月10日金曜日

あしたのために(その1)


=呼吸法=

芝居にふさわしい声を発するため、
あるいは観客の呼吸を盗むため、
まずは無理のない呼吸法を身につけること。
声を出す前に、まず呼吸。

このさい体の緊張は強すぎず弱すぎず、
ニュートラルな状態を心がけるべし。
いわゆるよい姿勢をとる。
肺からの呼気が軟口蓋にムリなく当たるようにする。

※肺臓いっぱいに息を吸いこむ。
これ以上はムリというところまで吸いこんだら、
そのまま息を止めて2~3秒キープする。
で、苦しくなる手前でゆっくり息を吐き始めるが、
この際、歯の裏側に息を当てるべし。
「ス~」と音が出てしまっても構わない。
むしろ音を出すことに気を取られないように。
ゆっくりながく息を吐く。

 たまにいるんだよ、わざわざ「ス~」って音たてるヤツが。
 嫌いなんだよ、そういう手合いがさ。
 多少かじってきたヤツに多いから厄介なんだわ。
 本来の目的を見失ってんじゃねぇよ。
 ちゃんと息を吐くことに集中しろって思うわ。

吐き切ったらまた2~3秒キープする。
苦しくなる手前で今度は「スン」っと速く息を吸い込む。
(※にもどる)


初心者はいきなり大きな声を出してはいけません。
自信ないけど、たぶんそうです。
昔の人はそれこそ、海に向かって叫んで喉をつぶして鍛えた、
なんて武勇伝を語ってくれたりしますけどね。
そうやって自分の身体をモノのように扱うのって、
ちょっと理解できないんですよねぇ~。
ムリせずに理想的な声を獲得できたほうがよくないですか?
前時代的な根性論は無用に願いたいものです。

地道かもしれませんが、この道が実は近道だと考えてください。
呼吸法を学んだ人は、あしたのために(その2)に進んでください。
入部希望者のあしたはどっちだ!

2020年4月1日水曜日

演劇部ではあなたの入部をお待ちしております!


さて、今回は普通に部活動紹介です。

劇団ERAでは一緒に舞台を作ってくれる仲間を募集しています。
私たちが目指しているのは独創的な舞台です。
まだ誰も見たことのない舞台を客席にお届けすることを目標にしています。
これを実践するために、次のような人を受け入れたいと思います。

あ、もちろん入部したあとでそういう人になってくれても構わないわけで、
(むしろそういう人のほうが中心になると思うけど)
そういう人を養成しているのが演劇部だ、とも言える。

1)他者と積極的に関われる人
本校の演劇部ではコミュニケーション能力が必須です。
共演者との関係や演出との関係がギクシャクしていたら稽古に影響がでます。
同様に音響さんや照明さんにもコミュニケーション能力は必要ですよ。
円滑な人間関係を自分から築いていける人が望まれます。
だから日常の生活から対話が苦手な人には演劇部は難しいかな~。
また、私たちは校外での公演も積極的に行っています。
むしろ校外の方が多いのではなかろうか。
そのため外部団体(他校の演劇部さんだけじゃなく)の方とも多く知り合う機会があります。

2)演劇の知識を探究・追求する心を常に忘れない人
あたりまえですが演劇に対する情熱が必要です。
自ら課題を発見し解決のために努力できる人が望まれます。
研究熱心な人は大歓迎なんです。
また、私たちは創作作品を専門に上演する劇団です。
演劇の可能性を拡張する演劇実験を含んだ脚本を創作しています。
普通の高校演劇じゃ満足できない人なら相性バッチリです。

3)表現方法としての演劇の特性を理解している人
私たちは役者が舞台に生身をさらすことの意味をちゃんと考えます。
演劇が小説や漫画や映画ではないことの意味を重く受け止めます。
つまり口先だけのセリフ回しで凌いでる役者はウチには存在しません。
声優さんだって唄って踊れてナンボでしょ?
また、私たちはお客さまの快適が第一だと考えてます。
お客さまの存在なくして舞台はあり得ません。
だから無観客公演なんて悲しくてできません!
お客さまをないがしろにした独善的な演技論を激しく否定します。
賛同してくれる人に入部してもらいたいと思います。


……なぁんて書くとなんだか敷居が高そうですが、
入部していただくにあたって、特別な試験を課すことはありません。
仮入部期間(4月いっぱい)を経て、
みなさんと私たちの合意が得られたのちに、
晴れて入部届を提出していただきます。
正式な入部は春季地区発表会(6月)の芝居を一緒に作ってから、
ということになりますが。

まぁ~とにかく百聞は一見に如かずと申します。
一度見学にいらしてください。
大学1号館4階の401教室で活動してます。

2020年3月17日火曜日

カラフルの4人娘

『汚れつちまつた』で採用した人物配置は、
やっぱり王道パターンだと思ってます。
そもそも『カラフル』という先行作品がありまして、
こちらは何度となく再演を繰り返しているんですが、
この作品から登場人物をまんま流用しております。
① 翻弄される主人公(千鶴)
② お調子者(舞子)
③ 真面目な優等生(サエ)
④ 不思議ちゃん(由利)
オトナの視点は
⑤ トラブルメーカー(小島さん)
がその役割を担っています。
これに⑥ 担任の入山先生が加わります。

この物語の原案というか元ネタというか源泉になっているのが、
その昔NHKのラジオドラマで聴いた『大誘拐』です。
ミヤコ蝶々さんが主役を演じてらっしゃいました。
物語の細部は今となってはよく憶えていないんですが、
誘拐犯グループと誘拐されたおばあちゃんとの立場が逆転するんです。
おばあちゃんが犯人たちに犯罪の手ほどきをするんですよ。
犯人を犯人に仕立てあげるって今考えると『熱海殺人事件』みたいですね。
『カラフル』では小島さんが「学校襲撃犯」らしい演技を要求されます。

ところで役名の千鶴・舞子・サエ・由利なんですがね。
いまだかつて「夏芙蓉でしょ?」って言われたことないんですが。
大丈夫なんですかね。

2020年3月16日月曜日

簡単な創作の方法

明智光秀はなぜ織田信長を討ったのか?
この戦国最大の謎に挑むのが拙作『ナイロン~本能寺の変・編~』です。
今年の大河ドラマは明智光秀が主役なんですってね。
あらまぁ偶然ですねぇ~。
ウチらが昨年末に上演した『ナイロン』が、
どこまで大河の内容を預言していたか、
それを検証するため毎週欠かさず視聴しています。

この『ナイロン』というのは、
容を限定して議することを略して言ったものです。
じゃあナイゲンじゃないのかってツッコミは野暮ですよ。
そもそもナイゲンのパクリなんですから!
自分で言うのもナンですが、話の構造はごくごく単純なんです。
登場するのは数名の高校生です。
彼らが本能寺の変をテーマにあれこれ論議します。
取り扱う人物(ここでは光秀)の心情に肉薄する手段として、
「演じる」ことを選ぶのです。

彼らには以下のような設定をしました。
① 翻弄される主人公(高山)
② 真面目な優等生(大垣)
③ お調子者(笠松)
④ 脳筋部活命(長森)
④ 情報弱者(鵜沼)
⑤ 飛び道具(中津川)

え~、実は似た構造の作品に『汚れつちまつた悲しみは……』があります。
2018年の秋季地区発表会で上演しました。
こちらは中原中也がテーマです。
メインは高校生3人と教育実習生です。
① 翻弄される主人公(千鶴)
② お調子者(舞子)
③ 真面目な優等生(サエ)
④ 進行役(由利先生)
そこに担任の先生が加わります。
オトナの視点を入れることで客観性が担保されます。
⑤ 助言者(小島先生)

こんなふうに役割が先行する台本は珍しいんですよ。
ほとんどの場合は「あてがき」してますから。
だからウチの稽古場では役者はおとなしくしていてはいけません。
自分はこんなことができる(あるいはできない)をアピールせにゃならんのです。
そこでは恥とか遠慮とかいう概念は邪魔なだけです。

ちなみに暴言を吐きますがね、
この「ナイロン」は台本が簡単に創作できちゃうんです。
なんてったってテーマを差し替えるだけで量産が可能なんですから。
素材は教科書に出てくる内容でいいんです。
ジャンルは歴史や文学がベストマッチ! 
歴史上の人物の波乱の生涯を描けばホラ完成。
小説の登場人物をエキセントリックに演じればアラ簡単。
だから、ウチらはこの創作方法をしばらく封印することにしました。
封印ということは、またいつかやるってことですけどね。

さてさて、『捨てられた島』に続いて、
新歓公演『13階の月光』もお蔵入りしちゃいました。
ってことは……次は春大ですね。
えっ! それホント?
劇団員の脳ミソを総動員して創作しましょう。
がんばっていきまっしょい!

2020年3月11日水曜日

練習体験会のご案内

まだ活動再開の見通しは不透明ですが、告知します。

≪練習体験会のご案内≫
日 時 4月8日以降の毎日放課後
場 所 大学1号館401教室
内 容 演劇部の練習体験
持ち物 動きやすい服装、運動靴
    ※中学校で使用していたもので結構です。
見学のみの参加でも歓迎です。
演劇部の説明会も同時に開催します。
ぜひ、お気軽に401教室をのぞいてみてください!

≪演劇部のご紹介≫
本校の演劇部には、使用させていただいている専用の教室があります。
音響・照明機材が常時組んでありますので、スタッフワークの練習にも困りません。
練習日は月・火・水・木の16時00分~18時30分と、
土曜日の13時00分~18時30分の、週休2日制です。
日曜・祝日は基本的にお休みですが、公演が近くなると練習があります。
また、富里近隣センター(柏駅から徒歩圏内)で活動することもあります。
昨年の夏休みにはトレーニングの一環として、箱根に温泉合宿に行きました。
演劇は分野を超越する総合芸術なので、さまざまな能力の伸長が期待できます。
まず、台本解釈の能力を身につけることで、現代文の授業の理解度がUPします。
そして、ことばを用いた表現力「話す・書く」を身につけることができます。
柔軟・筋トレはもちろん、殺陣のための打撃練習(ミット打ち)や剣戟練習(剣さばき)をすることで体力増進も期待できます。

≪こんな人におススメ≫
演劇に興味がある(必須)
体を動かすのが大好き
人として最低限の礼儀を身につけたい
普通の高校生活は送りたくない
体力をもてあましている
音楽が好きだし踊ることも好き
物語を創作したい
友だちをいっぱい作りたい
表現する仕事にあこがれている
価値のある高校生活にしたい

とにかく充実した学生生活を送りたいあなたに!
演劇部なら自分の未来につながるヒントが得られます。

こんな職業を目指している人もぜひ!
・保育士、幼稚園教諭
・作家、編集者、イラストレーター
・服飾デザイナー、パタンナー
・デジタルサウンドクリエイター、作曲家、演奏家
・振付師、ダンサー
・アナウンサー、声優

それでは、401教室でお待ちしています。