2020年12月29日火曜日

視座を逆転する

視座を逆転させて、お客さまの立場になって考える。

自分がお客さまの立場だったらどうか、ということを考える。

どんなお芝居を見たいと思うんだろうか。


「予想を裏切り、期待に応える」 という言い回しがある。

人間というのはわがままなもんで、予想通りの展開には月並みの烙印を押す。

といって、期待の遙か上を行くものには拒絶反応を示す。

お客さまに受け容れられる作品を創るのは骨が折れる。

突き放したり、寄り添ったりと、忙しいことこのうえない。


ところで、テーマのことである。


世の中にはテーマが明確にわからないと不快になる御仁が一定数いる。

テーマなんざ、どーだっていいじゃねえか、と、こちとら思っとるんだが。

しかし、厄介なことに(お節介なことに)、

今回はあらかじめテーマが明示されている。

「平和」 がテーマであろうと、「動く」 がテーマであろうと、

弊社がこれまで採ってきた立場はこうだ。

お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!


たとえば「愛」 がテーマの芝居だったとして、

劇中で登場人物が「愛とはなんだ!?」 と正面切って叫ぶのはどうだろう。

たしかに、これほど明確な伝え方はないだろう。

これなら、メッセージは確実に客席まで届くだろう。

しかし我々はその手法を善しとしない。

客席のニーズはそこにはない、と弊社では考えるのだ。

テーマを直截的に申し述べることは、観客を馬鹿にしているとさえ思うのだ。


今回のようにテーマありきのイベントであれば、

テーマとなっているそのワードはセリフで語らず、

いや、むしろ禁句にするくらいがちょうどいいのだ。


お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!

大多数のお客さまは、実は語らずともテーマを悟ってくださる。

惜しくも乗り損ねた人が、観劇後にしつこく聞いて来る。

「テーマは何ですか」 とか、眠いことを云うのだ。


BGM : Lady Gaga 『Poker Face』

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