もうかなり以前のことなので、記憶は曖昧です。
間違っていたらあらかじめお詫び申し上げておきますが、、、。
ある男優さんが、食事のためそば屋に入りました。
壁にはそば屋のメニューがずらりと貼り出されています。
注文してからの待ち時間、
彼は、いたずら半分にそのメニューを端から順に読み上げていきました。
店中に聞こえるように、感情をたっぷりこめて、、、。
するとその場に居合わせた客が、みな感動のあまり涙したのです。
つまりですね、
この役者さん、ロゴスに頼らずにパトスを得たということなんですね。
日常生活においても、私たちはついセリフに頼っちゃいます。
言葉がもともと持っている意味が、相手にちゃんと伝わると思っちゃうんですね。
でもそれだけじゃいかんのですね。
ちゃんとは伝わらない。100パーセントじゃない。
ロゴスだけじゃダメ。パトスと、そしてエトスも。
『そば屋のメニュー』は、ウチがよくやるエチュードのひとつです。
あ、別にそば屋じゃなくてもいいんですけど。
板に立つ役者は、ある任意の言葉しか発することはできません。
たとえば「鴨南蛮そば」と決めたら、その人のセリフは終始「鴨南蛮そば」。
言葉が縛られているけれど、感情は自由に動かすことができます。
言葉に頼らずに、自分の感情をいかに相手に伝えるか。
つまり、そういう練習です。
ここで肝腎なのが、実は密かに意識の分散なんですね。
メニューを言うことばかりに集中しちゃうのはダメ。
感情を伝えようと意識しすぎて、ついメニューじゃない言葉を口にしちゃダメ。
当然のことながらそれらをクリアするだけじゃない。
立ち姿、指先・足先までの意識。ミザンスにも注意を払って。
役者が自分の存在そのものに意識を払えないのが、実は一番の問題。
こういうトリッキーな稽古をすると、
自分たちが普段どれだけロゴスに頼っているかがわかります。
秋大の脚本創作はゆっくりゆっくり進んでいます。一応。
コマッツィオが戻って来ないとキャスティングできないぞ。
ハヤクカエレ ミナシンパイシテマス ハハ

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