2019年1月6日日曜日

暗転エピローグ

いまさらですが……、
平成30年11月27日初版発行の
『暗転エピローグ・第1巻』を入手。

ISBN978-4-04-893993-5
以下は帯のあおりです。

声優・生田善子が原作
自身の経験を生かした
ちょっとリアルな
高校演劇コミック!

キャラクターデザインにTiv、漫画担当にパインをむかえた、
所沢市役所超絶協力による高校演劇応援プロジェクト!

ちょっとリアル……なるほろ。
体験談ならそりゃリアルだと言わざるを得ないっスネ。
いくつかの高校演劇部を取材して、
最大公約数を導き出そうとする労力に比べりゃあ、
マチガイない! たしかに。

部活を題材にした漫画ってたくさんありますけど、
圧倒的に運動部を扱ったものが多いですよね。
野球、サッカー、バスケ、テニス、柔道、剣道、
バレーボール、水泳、なぎなた、ダンス etc……。
スポ根って(ちょっと古い?)テーマとしてわかりヤスイし、
なによりちゃんとしたルールがあるから取り扱いヤスイ。
プロリーグのある競技なら主人公の夢も設定しヤスイ。
ある程度の型?パターン?のようなものがあったりなかったり。
はじめは初心者だった主人公。
イイ感じで練習を重ね、試合に臨むが挫折を経験。
友情パワーで努力を積み重ね、ライバル校に見事勝利!!!
漫画の流行で新入部員が増えたなんて現象も。

そこいくってぇと文化部はわかりニクイですね。
特に演劇部は扱いニクイだろうなぁと思います。
コンクールの審査に明確なルールなんて存在しないし、
トップリーグでやってけるほど役者って甘くないそうだし、
高校演劇レベルなら根性無用でやれちゃうんだろうし、
それでいいとは断じて言わないけど、
それこそ学校によって取り組む姿勢はバラバラで……。
多様性ということならこれほど豊かなフィールドはない。
だがしかし、だからこそ実態がつかみニクイ。
漫画や小説や映画などという枠に納まるものじゃない。
と、思ってたんですが。

……ちょっとリアル? なかなかリアルです。


2019年1月1日火曜日

新しい年も演劇実験

平成31年です!
5月から新しい元号になります。
今のうちに使いまくりましょう、平成。

さて、演劇部では、
平成31年2月16日(土)に、
校内公演を計画しております。
この日の午前中には、
「3年生を送る会」がありまして、
それに合わせて日時を設定しました。
場所は演劇実習室です。
開演は14:00を予定しています。

今回の作品が52本目の創作脚本になるはずなんですが、
題名どころか内容もまだ決まっておりません。
ただ、演劇実験をすることだけは決まっております。
日本の景気回復のお手伝いをします!
平成最後のバレンタイン公演となります。
この時期ですと、入試も終わって、
すでに本校への入学を決めている中3生もいるのでは?
観覧をご希望の方は、事前にご一報くださいね。
04-7191-5242(高校教員室)

それでは平成31年も、
がんばっていきまっしょい!

2018年12月28日金曜日

テーマは「愛」です

年の瀬だす!
景色が寒々しいことったらないです。
歳末寒波が襲来してるらしいですけど、
カンパは自転車だけにしてもらいたいものです。
寒すぎ。風、強すぎ。
涙目。



さて、テーマをどのように伝えるかって話です。
どう料理するかっていう、まぁ調理方法ですね。

テーマは『愛』です、みたいな、
それ言っちゃったら身も蓋もないでショ、っていう。
言葉で伝えちゃっていいなら「作品」を創る意味はない。
作品を造り込んで中に忍ばせるものだと思うんです。
生のまま提供しちゃダメだと思うんです。
お刺身にしてあれば包丁入れてる分まだマシな方で、
生きた魚のまんまお膳に出されても、ちょっと食べられないですよ~。

いきなり極論ですがね、テーマってそもそも必要なのでしょうかね。
必要だとして、その解釈はお客様に委ねられているのではないんですかね?

あとから言いわけみたいに「あれはあーで、これはこーで」などと、
本来は禁じ手ですよ。御法度だと思うんですよ。
士道ならぬ劇人道に背くまじき事ですよ。切腹もんですよ。
私たちにとっては舞台で表現されたものがすべてです。
まして、作中人物に語らせちゃったらギャグです、それ。

ウチの場合は、だいたいテーマからは創作しないのです。
登場人物が作者の言いたいことを伝えるために奉仕するというのではない。
「この作品のテーマはなんですか?」って、
アンケートに書いてくださる方がいらっしゃいますけど、
演ってる自分たちもよくわかってないことが多いんです、スミマセン。

ただ、集団的無意識というのはやはりありまして、
自分たちで創作した台本のはずなんですが、
稽古しているうちにハタと気付くことはあります。
テーマは登場人物に教えられるものなんです。

ハナシを元に戻します。
あなたは何か言いたいことがあるんですよね。
世の中に向けて自分の考えを問うてみたい。
表現欲求があふれてとどまることを知らない。
で、それを演劇という手段を用いて伝えたい。

だったら、生身の役者が舞台に上がることの意味を、
考えなけりゃいけないって思うんですよ。
他にも表現手段はいくらでもあるんですからね。
ただ伝えたいというだけなら、なんで演劇なんですか?
小説でも、漫画でも、映画でもいいじゃないですか。
いっそ、伝えたいことを世界の中心で叫べばいいじゃないですか!
役者が頭のテッペンから足のツマサキまで衆目にさらして、
それに耐え得るための訓練に何日も費やして、
そんなにしてまで演劇である必要はないわけですよ。

テーマはそれとなく伝わるぐらいがちょうどいいと思うんですよ。
作中で登場人物が作者の「思想」を代弁するのって、
ダッサいと思いませんか?押し付けがましいというか。
そこは観客が受け取るから、受け取れるから、受け取りたいから。
生の魚をお膳に乗せるのって、観客をバカにしてると思うんです。



2018年12月26日水曜日

It's Showtime!

一音落とす者は去れ!
私たちはこの標語を、稽古場に掲げることにしました。
早口でも潰れない滑舌を獲得したいものです。

「たとえば、無闇にセリフに抑揚をつける人がいる。本人はまぁ感情表現のつもりなんでしょうけど、あんまり妙な抑揚をつけすぎて、自分の演技に酔っているだけに見えます。なぜそう見えるかって?抑揚の「揚」はまだいいとして、「抑」の部分のセリフが聞こえないことがあるんです。抑えるほどの声量じゃない役者さんが抑えたらいかんですよ。セリフに抑揚を付けたいなら声量を全体に大きくしなければいけませんよ。つまり自分の声が客席に届いているかどうかもわからないから、酔っているように見えるんです。

でもね、だからって叫べばいいってもんじゃあない。いや、むしろ逆なんです。叫んじゃダメなんです。叫ばなきゃ届かない声量なら、それって発声ができてないってことですよね。だったらノドを痛めるだけじゃないですか。自然に発してもきちんと響くような声を獲得してから舞台に立ちましょうよ。聞き苦しいだけですよ。叫ぶしか能がない役者は無能なんです(ん?論理が破綻しとるな)。ツッコミでもやたら叫ぶしかないのは稚拙というもんです。世の中にはいろんなツッコミのパターンがある。だったらそれを知るべきです。勉強不足を恥じるべきなんです。

考えてみればわかる。のべつに叫んでる人なんて日常に存在してるかってことです。文学賞の審査員の常套句に「この作品は、人間が描けていない」っていうのがあります。文芸の世界ではあたりまえなことなんです。現実世界に存在し得る人間を題材にしろってことなんです。人間を描くってことが文芸の至上命題なんです。これはどの作品にも共通して言えることなんです。それには人間が直接登場する必要はない。たとえば漱石の『吾輩は猫である』は、猫の視点から観た人間が描かれてる。たとえば芥川の『河童』は、河童の社会という架空の設定を通して、人間社会を辛辣に諷刺している。狼や兎や狸が活躍する童話は人間を動物になぞらえている。広い意味では演劇も文学です。明治期には文学も演劇も、美術と一括りにされていたんです。

ツッコミといえば、テレビのおかげで日本人の笑いの偏差値は下がってしまったんです。ある人気コメディアンが自分の冠番組の中で、何の訓練も受けていない素人さんを画面に登場させてしまった。そこから日本の笑芸は崩壊していったように思うんです。テレビのドキュメント性は容赦なく素人さんのおたおたする惨めな姿を映し出しました。はじめは確かにみっともなかったんです。お茶の間に広がったのは「蔑みの笑い」だったんです。かなりゲスい笑いだったんです。でも視聴者もみんなそれをわかってた。わかったうえで楽しんでたんです。そのはずだったんです。いつからなんでしょう、気がつけば素人芸でも、部室芸でも、テレビの中に存在することが許されるようになっていた。スタッフの内輪ネタを公共の電波を使って垂れ流し続けても、誰も文句を言わなくなった。本当の笑いはどこに行ったんでしょう。本当の笑いは寄席にでも行かなければお目にかかれなくなってしまった。同じような現象は歌謡界でも起きました。アイドルと呼ばれる「唄うタレント」がテレビの歌番組を席巻し、本当の歌い手がいなくなった。歌姫なんて呼ばれてる人もいますが、あんなの美空ひばりの足元にも及ばない。いいえ、アイドルすら放課後の部活動になり、黄色い声を張り上げた小娘が腰をくねらせ、そんなのでも金が稼げるようになってしまった。そんな世界が健全だと言えるんでしょうかッ!!!」

以上のセリフを高速でしゃべくり倒しましょう。


まぁ冗談はさておき、
その実、ホンキだったりして、
以前も言いましたが、
演劇は初めて観るよって人だって、
客席にはいらっしゃるんですよね。
その方に、
「演劇ってこんなもんか」
って言わせたらいけないと思うんです。
「演劇ってスゲエじゃん」
って言わせたいだけなんです。
それって思い上がりですかね?
劇人なら当然の意識だと思いますけど。
いいですよ、それウチがやります。
演劇の真似事をするんなら責任があるよ、
ってだけのことなんです。

今日から稽古はOFF。
世間並みに冬休みですね。
そうそう「ういろううり」は冬季休業中の課題ですよ。
年末年始は演芸番組が目白押しです。
劇団員の皆さん、さぁ、お勉強の時間だ。
ドライバーオ~ン!
3・2・1!ショウターイム!
がんばっていきまっしょい!