視座を逆転させて、お客さまの立場になって考える。
自分がお客さまの立場だったらどうか、ということを考える。
どんなお芝居を見たいと思うんだろうか。
「予想を裏切り、期待に応える」 という言い回しがある。
人間というのはわがままなもんで、予想通りの展開には月並みの烙印を押す。
といって、期待の遙か上を行くものには拒絶反応を示す。
お客さまに受け容れられる作品を創るのは骨が折れる。
突き放したり、寄り添ったりと、忙しいことこのうえない。
ところで、テーマのことである。
世の中にはテーマが明確にわからないと不快になる御仁が一定数いる。
テーマなんざ、どーだっていいじゃねえか、と、こちとら思っとるんだが。
しかし、厄介なことに(お節介なことに)、
今回はあらかじめテーマが明示されている。
「平和」 がテーマであろうと、「動く」 がテーマであろうと、
弊社がこれまで採ってきた立場はこうだ。
お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!
たとえば「愛」 がテーマの芝居だったとして、
劇中で登場人物が「愛とはなんだ!?」 と正面切って叫ぶのはどうだろう。
たしかに、これほど明確な伝え方はないだろう。
これなら、メッセージは確実に客席まで届くだろう。
しかし我々はその手法を善しとしない。
客席のニーズはそこにはない、と弊社では考えるのだ。
テーマを直截的に申し述べることは、観客を馬鹿にしているとさえ思うのだ。
今回のようにテーマありきのイベントであれば、
テーマとなっているそのワードはセリフで語らず、
いや、むしろ禁句にするくらいがちょうどいいのだ。
お客さまのインテリジェンスを侮ってはいけない!
大多数のお客さまは、実は語らずともテーマを悟ってくださる。
惜しくも乗り損ねた人が、観劇後にしつこく聞いて来る。
「テーマは何ですか」 とか、眠いことを云うのだ。
BGM : Lady Gaga 『Poker Face』