2020年4月10日金曜日

あしたのために(その1)


=呼吸法=

芝居にふさわしい声を発するため、
あるいは観客の呼吸を盗むため、
まずは無理のない呼吸法を身につけること。
声を出す前に、まず呼吸。

このさい体の緊張は強すぎず弱すぎず、
ニュートラルな状態を心がけるべし。
いわゆるよい姿勢をとる。
肺からの呼気が軟口蓋にムリなく当たるようにする。

※肺臓いっぱいに息を吸いこむ。
これ以上はムリというところまで吸いこんだら、
そのまま息を止めて2~3秒キープする。
で、苦しくなる手前でゆっくり息を吐き始めるが、
この際、歯の裏側に息を当てるべし。
「ス~」と音が出てしまっても構わない。
むしろ音を出すことに気を取られないように。
ゆっくりながく息を吐く。

 たまにいるんだよ、わざわざ「ス~」って音たてるヤツが。
 嫌いなんだよ、そういう手合いがさ。
 多少かじってきたヤツに多いから厄介なんだわ。
 本来の目的を見失ってんじゃねぇよ。
 ちゃんと息を吐くことに集中しろって思うわ。

吐き切ったらまた2~3秒キープする。
苦しくなる手前で今度は「スン」っと速く息を吸い込む。
(※にもどる)


初心者はいきなり大きな声を出してはいけません。
自信ないけど、たぶんそうです。
昔の人はそれこそ、海に向かって叫んで喉をつぶして鍛えた、
なんて武勇伝を語ってくれたりしますけどね。
そうやって自分の身体をモノのように扱うのって、
ちょっと理解できないんですよねぇ~。
ムリせずに理想的な声を獲得できたほうがよくないですか?
前時代的な根性論は無用に願いたいものです。

地道かもしれませんが、この道が実は近道だと考えてください。
呼吸法を学んだ人は、あしたのために(その2)に進んでください。
入部希望者のあしたはどっちだ!

2020年4月1日水曜日

演劇部ではあなたの入部をお待ちしております!


さて、今回は普通に部活動紹介です。

劇団ERAでは一緒に舞台を作ってくれる仲間を募集しています。
私たちが目指しているのは独創的な舞台です。
まだ誰も見たことのない舞台を客席にお届けすることを目標にしています。
これを実践するために、次のような人を受け入れたいと思います。

あ、もちろん入部したあとでそういう人になってくれても構わないわけで、
(むしろそういう人のほうが中心になると思うけど)
そういう人を養成しているのが演劇部だ、とも言える。

1)他者と積極的に関われる人
本校の演劇部ではコミュニケーション能力が必須です。
共演者との関係や演出との関係がギクシャクしていたら稽古に影響がでます。
同様に音響さんや照明さんにもコミュニケーション能力は必要ですよ。
円滑な人間関係を自分から築いていける人が望まれます。
だから日常の生活から対話が苦手な人には演劇部は難しいかな~。
また、私たちは校外での公演も積極的に行っています。
むしろ校外の方が多いのではなかろうか。
そのため外部団体(他校の演劇部さんだけじゃなく)の方とも多く知り合う機会があります。

2)演劇の知識を探究・追求する心を常に忘れない人
あたりまえですが演劇に対する情熱が必要です。
自ら課題を発見し解決のために努力できる人が望まれます。
研究熱心な人は大歓迎なんです。
また、私たちは創作作品を専門に上演する劇団です。
演劇の可能性を拡張する演劇実験を含んだ脚本を創作しています。
普通の高校演劇じゃ満足できない人なら相性バッチリです。

3)表現方法としての演劇の特性を理解している人
私たちは役者が舞台に生身をさらすことの意味をちゃんと考えます。
演劇が小説や漫画や映画ではないことの意味を重く受け止めます。
つまり口先だけのセリフ回しで凌いでる役者はウチには存在しません。
声優さんだって唄って踊れてナンボでしょ?
また、私たちはお客さまの快適が第一だと考えてます。
お客さまの存在なくして舞台はあり得ません。
だから無観客公演なんて悲しくてできません!
お客さまをないがしろにした独善的な演技論を激しく否定します。
賛同してくれる人に入部してもらいたいと思います。


……なぁんて書くとなんだか敷居が高そうですが、
入部していただくにあたって、特別な試験を課すことはありません。
仮入部期間(4月いっぱい)を経て、
みなさんと私たちの合意が得られたのちに、
晴れて入部届を提出していただきます。
正式な入部は春季地区発表会(6月)の芝居を一緒に作ってから、
ということになりますが。

まぁ~とにかく百聞は一見に如かずと申します。
一度見学にいらしてください。
大学1号館4階の401教室で活動してます。

2020年3月17日火曜日

カラフルの4人娘

『汚れつちまつた』で採用した人物配置は、
やっぱり王道パターンだと思ってます。
そもそも『カラフル』という先行作品がありまして、
こちらは何度となく再演を繰り返しているんですが、
この作品から登場人物をまんま流用しております。
① 翻弄される主人公(千鶴)
② お調子者(舞子)
③ 真面目な優等生(サエ)
④ 不思議ちゃん(由利)
オトナの視点は
⑤ トラブルメーカー(小島さん)
がその役割を担っています。
これに⑥ 担任の入山先生が加わります。

この物語の原案というか元ネタというか源泉になっているのが、
その昔NHKのラジオドラマで聴いた『大誘拐』です。
ミヤコ蝶々さんが主役を演じてらっしゃいました。
物語の細部は今となってはよく憶えていないんですが、
誘拐犯グループと誘拐されたおばあちゃんとの立場が逆転するんです。
おばあちゃんが犯人たちに犯罪の手ほどきをするんですよ。
犯人を犯人に仕立てあげるって今考えると『熱海殺人事件』みたいですね。
『カラフル』では小島さんが「学校襲撃犯」らしい演技を要求されます。

ところで役名の千鶴・舞子・サエ・由利なんですがね。
いまだかつて「夏芙蓉でしょ?」って言われたことないんですが。
大丈夫なんですかね。

2020年3月16日月曜日

簡単な創作の方法

明智光秀はなぜ織田信長を討ったのか?
この戦国最大の謎に挑むのが拙作『ナイロン~本能寺の変・編~』です。
今年の大河ドラマは明智光秀が主役なんですってね。
あらまぁ偶然ですねぇ~。
ウチらが昨年末に上演した『ナイロン』が、
どこまで大河の内容を預言していたか、
それを検証するため毎週欠かさず視聴しています。

この『ナイロン』というのは、
容を限定して議することを略して言ったものです。
じゃあナイゲンじゃないのかってツッコミは野暮ですよ。
そもそもナイゲンのパクリなんですから!
自分で言うのもナンですが、話の構造はごくごく単純なんです。
登場するのは数名の高校生です。
彼らが本能寺の変をテーマにあれこれ論議します。
取り扱う人物(ここでは光秀)の心情に肉薄する手段として、
「演じる」ことを選ぶのです。

彼らには以下のような設定をしました。
① 翻弄される主人公(高山)
② 真面目な優等生(大垣)
③ お調子者(笠松)
④ 脳筋部活命(長森)
④ 情報弱者(鵜沼)
⑤ 飛び道具(中津川)

え~、実は似た構造の作品に『汚れつちまつた悲しみは……』があります。
2018年の秋季地区発表会で上演しました。
こちらは中原中也がテーマです。
メインは高校生3人と教育実習生です。
① 翻弄される主人公(千鶴)
② お調子者(舞子)
③ 真面目な優等生(サエ)
④ 進行役(由利先生)
そこに担任の先生が加わります。
オトナの視点を入れることで客観性が担保されます。
⑤ 助言者(小島先生)

こんなふうに役割が先行する台本は珍しいんですよ。
ほとんどの場合は「あてがき」してますから。
だからウチの稽古場では役者はおとなしくしていてはいけません。
自分はこんなことができる(あるいはできない)をアピールせにゃならんのです。
そこでは恥とか遠慮とかいう概念は邪魔なだけです。

ちなみに暴言を吐きますがね、
この「ナイロン」は台本が簡単に創作できちゃうんです。
なんてったってテーマを差し替えるだけで量産が可能なんですから。
素材は教科書に出てくる内容でいいんです。
ジャンルは歴史や文学がベストマッチ! 
歴史上の人物の波乱の生涯を描けばホラ完成。
小説の登場人物をエキセントリックに演じればアラ簡単。
だから、ウチらはこの創作方法をしばらく封印することにしました。
封印ということは、またいつかやるってことですけどね。

さてさて、『捨てられた島』に続いて、
新歓公演『13階の月光』もお蔵入りしちゃいました。
ってことは……次は春大ですね。
えっ! それホント?
劇団員の脳ミソを総動員して創作しましょう。
がんばっていきまっしょい!