2018年11月18日日曜日

ちゃんと

いやぁ~さすがは中央発表会でした。
期間中、何人かのいい役者さんと出逢えました。
もちろん直接ではなく、舞台と客席の間でですけどね。
勝手に感心して、勝手に心の中で推してました。
みなさん各地区で最優秀賞に輝いただけのことはあります。

まず第一に、そういう役者さんはちゃんと声に芯が通ってますね。
しかも発声が明瞭で指向性がはっきりしているんです。
客席をちゃんと意識してくれてるのがわかります。
それでもって胎の底からセリフを発してくる。
だからセリフに説得力がある。
パワーがある。緊張感がある。
ちょっとやそっと「間」が悪くったって、
聞いてられちゃうんですよ~。

逆に、上辺で喋ってるセリフが続くと眠くなります。
いや、セリフの意味内容が入って来ないんです。
伝えようって気が感じられない。
「h音」で感情籠めた気になってる役者さんも出没しました。
息を含みながらというか溜息まじりというか、
母音の前に「h音」が入る役者さんがいるんです。
例えば「おかあさん」というセリフに情感を籠めようとして、
「ほかあさん」になってしまったり。
同様に「あなた」が「はなた」になり、
「おまえ」は「ほまえ」になってしまいます。
台本に書いてありませんよね、そんなセリフは。
「ほまひらなんか…ほやじゃないッ!」
そんなセリフには感情移入できません。
しかし、いい役者さん同士が絡んでくれると、
特に動きのないただのセリフの応酬でも、
舞台の集中がものすごく伝わってくるんです。
ちゃんとその役の人物になってるんです。
技術的にはフレージングなんでしょうけど、
そんな小手先の問題じゃない気がしますね。

余計なことではありますけど、
ちゃんとしてる学校さんにはひとつの傾向があります。
それは、部員の皆さんが「礼儀正しい」ってことです。
リハ・本番、そして客席での振る舞いのすべてにおいて、
よく訓練されてるなぁ~なんて感心しちゃいます。
こういう学校さんは、舞台装置の仕込み・バラシなども、
ちゃんとしてる学校さんは、よく考え抜かれていて、非常にスマートなんです。
逆に、ノリだけはまるで運動部のような学校さんもあります。
でもね、所詮は形だけです。メッキです。ニセモノです。
声ばかり大きく、無駄な動きばかり。
ぎゃあぎゃあ騒ぎ回って当人たちは一生懸命やってるつもりなんでしょうけど、
結局、ものの足しにもならないんです。これには閉口ですよ。
装置の造りも雑ですしね。
おっと、ちゃんとしてる、と書いてしまうと、
逆に「ちゃんとしてない」学校さんもあったのか、
って話になってしまいますけど……。
でもね、自己の相対化は演劇人としては絶対の条件だよ。
知ったかぶりの身勝手だって本人は気付いていないんだから。
自己陶酔の極み。周りからは白眼視されてるっつーの。
顧問がそこはちゃんと言ってやらなきゃダメだよ。
ま、そこは想像していただくとして。


2018年11月16日金曜日

中央発表会

千葉県の演劇ファンのみなさま!
今日から中央発表会が始まってます。
会場は千葉県教育会館です。
入場チケットはございません。
ふらっと立ち寄っての観覧も大歓迎です。

さすがに今日は金曜日。
平日ですからそれほどお客さまの動員はいただけませんでした。
しかしあすは土曜日です。学校はお休みです。
大事な仕事をキャンセルして、ぜひお越しくださいませ。
*しかしながら、二松は土曜も授業っす……。

千鶴・舞子・サエ・由利の4人は、
もともと某有名作品の出身です。
ERAの創作する世界の住人になってもらうにあたり、
性格のコントラストをクッキリさせています。
きょうはその元ネタである『夏芙蓉』がかかりました。


2018年11月15日木曜日

2.5次元というヤツ

高校演劇であることは止めましたが、
演劇まで止めたつもりはありません。
高校演劇のカテゴリーに入れられることには、
激しいアレルギー反応を示しますが、
演劇というジャンルの一部ではありたいと思います。

そうなってくると「演劇とは何か」という、
いわゆる演劇観というヤツが問題になってきますね。

そもそも劇団ERAは創作脚本専門です。
既成の作品には僕たちの食指が動かないからです。
素人がカバーしたってオリジナルには絶対に敵わないですよ。
まぁ稽古場では結成当時から
「漫画を原作にして創作しました」
という体でやったりしてますが。
あくまでもシャレなんですがね。
いわゆる2.5次元のハシリですね。

「うぅ~ん、そこの芝居はそうじゃないよ。
コミックスの第9巻72ページを思い出して」
「原作では、もう少しカッコよかったけどな」
「アニメ版では、そこのセリフはもっと感情がこもってた」
なんて具合にね。

演劇って、役者が生身を晒して演るものですから、
マンガやアニメのようにはいかない。
人間の肉体には限界がある。
舞台機構に制限もある。
だから工夫が必要になるし、
アイデアを駆使しなければならない。
だから私たちは、演劇でなければならない、
「表現」を追求しなけりゃならないんだ。

だから、アニメのワンシーンを再現してみせたり、
テレビCMのパロディを延々と続けたり、
お笑い芸人のモノマネをするだけだったり。
部室でやるなら、内輪でやるなら結構だけど、
それって公共のホールを使ってやることなのかい?
客前でやることなのかい?
「自分たちがやりたいことをやってるだけ」
そんなナルシシズムを観客に押し付けるな。

そんなもん、演劇じゃねえよ。

2018年11月13日火曜日

業界用語は大いに使うべし

客席から舞台に向かって右側を「上手(かみて)」といいます。
逆に左側は「下手(しもて)」です。

なにをいまさら、ですか?
いや、私たちにとっては常識なんですけどね。
これが意外と通用しないのが世間一般というやつです。
私たちには当たり前のことが、普通には通じない。
信じられませんが事実です。

だけど便利なんですよねぇ~、舞台用語って。
この界隈でしか通用しない隠語だとしてもね。
面倒な説明なんか抜きで、瞬時に了解できる。
だって、意思疎通が速ければ仕事もはかどるでしょう。
きちんと理解してから動けば、事故防止にもつながるし。

「うちの部員には業界用語を使わせない」
と豪語する顧問の先生には、そこんとこをわかって欲しい。
一体なにを理由にそんなことにこだわるんですか?
私たちは理由があって使ってるんですよ。
別に業界通を気取っているわけじゃないんです。

もちろん「私たちは素人なんだ」という謙虚さは持ち続けたい。
この点、演劇部員は上級生になるほど意識的になるべきです。
あるていど舞台に慣れてきた頃が一番危ないんです。