2018年4月14日土曜日

少女AとB


A・・・・高校2年生の先輩
B・・・・高校1年生の新入生

放課後の昇降口付近
A「ちょっと、そこの君」
B「(周囲を確認して)はい。私ですか」
A「その真新しい制服。どこか浮ついた足取り。新入生ね」
B「はい。えっと……」
A「わかるのヨ、私には」
B「はぁ、……なんですか?」
A「そしてその眉間の縦ジワ。ずばり。悩んでるわね!」
B「え。なんですかいきなり。別に悩んでませんよ。あなた誰なんですか」
A「通りすがりの優しい先輩、ってとこかな。ふふん、新入生に悩みは付きものじゃない。さぁ遠慮なんか要らないのよ。あるんでしょぉ、悩み」
B「イヤ別に……」
A「仲のいい友だちができるかなあ、とか、勉強超難しいんじゃないかなあ、とか。まだ始まってもいない新生活に、無駄にありもしない不安を抱いてるんじゃないのかな」
B「ああ、まあ。そういう悩みだったらありますけど」
A「ホラ図星。股間の縦ジワが悩んでますって雄弁に物語ってたから」
B「それを言うなら眉間でしょ。なんですか股間て。でもえ~っ、そんなにスゴい顔してました?」
A「してたしてた。そぉんな暗い顔してたら、友だちなんかできないゾ(おでこにツン)」
B「ちょっとやめてください。でも、そうですね。先輩の言ってること、わかります」
A「友だちができないどころか、このまんまじゃいじめられちゃうわね」
B「ウソ!いじめられるんですか」
A「いじめられちゃう人には、ある一定の特徴があるっていうわよね」
B「特徴ですか?」
A「ズバリ聞くけど、君は、どんなタイプがいじめられやすいと思う」
B「はぁ~、そうですね。例えば、勉強やスポーツができない人、とか……かなぁ」
A「ほう。(ちょっと怖い感じ)勉強やスポーツができない者は、いじめられると」
B「え?」
A「(明るく切り替えて)うん。そだね~。勉強やスポーツができないのはダメ人間だよねぇ~。たとえて言うなら『野比のび太』タイプ?他人と比べて能力が著しく劣っている人は、いじめられやすい傾向にある。うんうん、他にはぁ~?」
B「う~ん、逆に、できすぎる人っていうのも、目を付けられやすいですかね」
A「えっ!できすぎてもダメ?ではどうすれば・・・はっ、なるほどそうか、嫉妬!出木杉がどこか孤立して周囲から浮いた存在なのはそのせいだ、うん」
B「あれは一目置いてるんじゃないですかね・・・。ていうか無理あるんじゃないですか。ドラえもんの登場人物で話を整理するのって」
A「才能をうらやむだけならまだしも、自分の無能を棚に上げ、あまつさえ、僅かばかりの才能を磨くため、人一倍の努力を重ねている者の足を引っ張るとは(怒り)」
B「出木杉くんでそんな熱くならないでください」
A「他にはどんな特徴があると思う?」
B「性格的なものもあるんじゃないですか。暗くて気が弱くて、いつもオドオドしてる子とか。あとやられても抵抗しない大人しいカンジの子」
A「そうね、抵抗できなきゃね」
B「あと逆に、妙に馴れ馴れしくって、押しつけがましくって。空気読めない感じの子」
A「なんだとぉ!」
B「ちょ、どうしたんですか?」
A「他にはッ!」
B「見た目でいうと、不潔で服装が乱れている。あとチビとかデブとか口が臭いとかかなあ」
A「テメエ、あっち側の人間かッ」
B「どうしたんですか?」
A「サイッテー!」
B「ええっ」
A「よおしわかった。新入生の君にアドヴァ~イス、フォー、ユー。いじめられないようにするための極意。なにごとにも中途半端!」
B「え?」
A「ほどほどの加減がええ匙加減」
B「ほんとですか。えぇ~?いいんですか、そんなんで」
Aの後を追いかけてゆくB


《幕》

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