2020年8月30日日曜日

もうアスカじゃない

昔話で恐縮です。

劇団のレパートリーに『MELTING POINT』というのがあります。

2007(平成19)年の秋季地区発表会で上演した作品です。

もちろん創作脚本であることは言うまでもありません。

主人公は天馬アスカという名の高校生。

いきなりですが、彼女の正体はアンドロイドです。

(当時はそういうジャンルの作品も板に掛けてたんですよねぇ)


「天馬」という名でご想像の通りなんですが、

このアスカは、天馬博士の亡くなった娘・明日香をモデルとして造られました。

ちなみに博士はアスカをサーカスに売ったりしません。

死んだ明日香から「記憶」を取り出して、

アスカの「人工知能」にラーニングさせています。


なんやかんやがありまして物語の終盤。

人類を救うためアスカは暴走を始めた原発の炉心に突入して行きます。

自らのボディの融点=melting point も顧みずに。

結果、人類の危機は去り、アスカは融解してしまいます。


ラストで天馬博士の助手である飯田橋が言います。

「また造り直せばいいじゃないですか。バックアップは取ってあるんでしょ?」

これに対して天馬博士が言います。

「技術的にはね。でもそのアスカは、もうアスカじゃない」


何年も乗りまわした愛車を廃車にしてしまったあとで、

たまたま同型の車輌を街なかで見かけたとしても、

そりゃたしかに懐かしいとは思うかもしれないけれど、

でもそれは同じ車ではありませんよね。

ちょっとぶつけてできたへこみ。

アクセルやブレーキのちょっとしたクセ。

機械にも個性があります。

単なる道具だと割り切ることなんてできないです。


あ、でもイズの再生には賛成です。


2020年8月4日火曜日

秋大について考えてみた

秋大を開催するという前提で、あれこれ考えてみました。


まず、参加者は全員がマスク着用。

これはいまや社会の義務ですね。

でも役者もマスクでってのはどうなんだろう。

いや上演中の話ですよ。

まぁそういう設定の芝居を書けばいいんでしょうけど。

個人的にそんな芝居は見たいと思わないんですよ。

キワッキワのキワモノですよ、そんなのは。

多くの人が言ってますが、新型コロナを扱った芝居なんて見たくもない。

観客はそんなもの舞台に求めちゃいないですよ。高校演劇じゃないんだから。

少なくとも、後世に残っていく芝居にはならないんじゃないかな。

希望的観測ですが、この状況はいつまでも続かない。

マスク芝居がスタンダードになる世界は来ないと思いますよ。

 

入館、退館は定刻を守りましょう。

ロビーなどで待機しない。

建物の外だからといって会館の駐車場にたむろすることもいけません。

集合する場合は、距離を保つ。無用なおしゃべり禁止。

山奥にポツンと一軒家ならいざ知らず、柏文は駅から徒歩圏内だし、近隣にお住いの方はいらっしゃるわけで。

高校生が押し寄せてきてヤイヤイやってたら、いい気がしませんよ。

そうなったら県大会や関東大会にだって、どんな影響を与えないとも限らない。

頼むから静かにしてくれって話ですが、この制御ができることが開催の前提です。

 

入場口、ロビー、お手洗いには消毒液を用意。

手洗いの徹底と消毒液の利用。これは日常的にみんなやってることですよね。

で、自分のハンカチ、タオルを用意すること。

アルコール消毒にアレルギーのある人は顧問に申し出ること。

会場内でもできるだけ不要な会話は控える。

当然ながら、安全のための指示は不要じゃないですよ。

そこは「大声を出して」ください。

リハ時には演出さんも声を出してください。

ただしガナリマイクを使っていいのは演出のみ。

次の学校にマイクをバトンタッチする時には消毒。

ロビーでの食事は禁止。長時間居座らない。

ホール内への飲み物の持ち込みを許可してもらう。これは会館側と交渉が必要ですが。

ただし、持ち込んで良いのはペットボトル等のフタつきの飲み物のみとする。

今回に限り、客席でも上演中を除き飲んで良いことにしてもらう。

 

ホール内は法令に基づいた空調設備の整備が義務付けられていて、柏文においてもホール内に十分な外気を導入するシステムが設置してあります。

しかしながら、リハーサルの切り替え時、ならびに本番の休憩時には、入場口や客席扉を開放し換気をします。

それだと、換気ができる一方でホール内の冷暖房効果が損なわれる恐れがあります。

ということは、自分で体温調整できる服装を用意する必要があります。

スモークマシンによる演出は、う~んどうなんでしょう。

やるのは構わないけど、思ったような効果は期待できないと思いますよ。

客席に降りる演出はタブーです。客席から登場するとかもだめです。

あ、客席はキャパの50%にします。

最前ブロックはそもそも潰します。それ以外の座席の50%。たとえば奇数番号の座席のみ着席OKとかにする。

楽屋も定員の半分で回していく。

除菌スプレーを噴霧する。壁、床、座席、etc……。どこまで消毒すればいいのか。

このへんも会館側との相談ですよね。

 

以下の場合は参加を見合わせてもらいます。

検温は義務です。37.5℃以上の熱がある人は参加しちゃだめです。

過去14日以内に、新型コロナウイルス感染症が引き続き拡大している地域・自治体に滞在した生徒・顧問。(これにはちょっと問題がありまして、そもそも都民はどうしましょうかってとこなんです。サマフェスやれるんなら大丈夫ってか?)

過去14日以内に、身近な人(家族、友人、学校の人など)で、新型コロナウイルスに感染した人、もしくは感染の疑いのある人がいる生徒・顧問。

居住する自治体から自粛の呼びかけが出された生徒・顧問。

所在する自治体から自粛の呼びかけが出された学校の生徒・顧問。

 

ということはですよ、本番直前になってまたまた上演不能っていうケースも考えられるってことですよ。そこを覚悟しておいてもらわなければいけません。

会館側から(柏市から?)要請が出たら、秋大そのものがおじゃんになりますけどね。

問題なのは、ある学校のある生徒が上記の要件に該当してしまった場合、顧問が毅然として撤退命令を出せるかどうかです。厳しい言い方ですが、情にほだされて上演してしまうようなことがあっては困るんです。

後になって感染者の施設利用が判明した場合には、利用者全員がヘタすりゃPCR検査ですからね。

ダブルキャストを用意しておく?ご自由にどうぞ。個人的には感心しませんけどね。

そこいらを生徒にも納得させたうえで、初めて「参加」なんだということです。


どのような対策を講じているかを、あらかじめ演劇部部員の保護者にも提示しておく必要があります。そのうえで保護者に判断してもらう。

高校生が自分の判断で参加を決めちゃいかんですよ。

そりゃ自分に多少のリスクがあっても演劇したいって言いますよ。

部内で同調圧力が働かないとも限らない。というか同調圧力がない部活って部活じゃないんじゃないか?高校生が自主的に「決める」ことなんてできませんよ。

保護者も納得したうえでの参加でなければいけません。


とにかく顧問教員も会館のスタッフさんも、初めてのケースです。

生徒のみなさんの協力がなければやってけません。


2020年6月23日火曜日

演劇部をプレゼン

問題です。
わたしたちは今、何を学ばなければならないのでしょうか?
授業で教わることだけで、十分でしょうか?
与えられた問題の答えを導き出せればそれでよいのでしょうか?
詰込み型の教育は効率が良いですが、
柔軟に物事を考えるために必要な能力は身につきません。
高校生活をより価値のあるものにするためにも、
部活動に参加することをおすすめします!

ところで、
画一的な価値観を意に介さず、
評価基準を自分で作り、
自分で「美しい」と認めるものを追求するのが
アカデミズムの世界です。
これからの時代に求められているのは
アカデミズム的人材です。
詰込み型教育では育たない人材です。

さて、
チームワークやコミュニケーションといった
標準化された基礎的なスキルは、
極端なハナシ、どのクラブでも学べます。
それでは第2問。
画一的な価値観を意に介さず、
評価基準を自分で作り、
自分で「美しい」と認めるものを追求することができる
クリエイティビティに満ちたクラブはどこでしょう?

それは演劇部です。

本校の演劇部では、
上演台本の創作(現在57作品)
大道具や小道具の製作
効果音やBGMの製作
芝居の演出
音響・照明の操作
すべて自分たちでやります
最高のクリエイティビティを備えているのは演劇部だけ
 




ですが、
困ったことに
3年生が引退したため
現在部員がゼロ
危機的状況にあります。
そこで新規メンバーを大・大・大募集です。
こんな人は要注目です!
◎友だちをいっぱい作りたい
◎体を動かすのが大好き(実は運動部です)
◎音楽が好き踊るのも好き
楽器ができる,曲を作れる
音響照明機材を使ってみたい(プロ仕様の機材揃ってます)
◎将来その道を目指している
◎そしてもちろん芝居が好き

中学の部活歴は不問です。
むしろ初心者大歓迎なんです。

活動場所は大学1号館401教室です。
部室は402教室です。
不定期で中庭体育館にも出没します。
休日は富里近隣センターを利用することも。
 (柏駅東口より徒歩圏内)

演劇部には2つのコースがあります。
Aコース
正式な部員として公演の主軸となり活動する
Bコース
サポートメンバーとして裏から公演を支える

新規オープニングの募集につき、活動日・活動時間は、
応募者と話し合って決定したいと思います。

あなたの青春を
演劇部で燃やしてください!


2020年6月10日水曜日

劇団の活動の一端ですが

【脚本について】
劇団ERAは創作脚本を上演する演劇集団です。
これまでに50本以上の作品を生み出してきました。
創作の方法は作品ごとに事情が異なります。
ひとつとして同じ生まれ方をした作品はありません。
これからもそうやってあれやこれや試行錯誤するはずです。
まず集団創作であることは間違いありません。
誰かが自室にこもって書いたような作品にはなりません。
仲間が稽古場に集まって動いていく中で、
‟熱気”のようなものが床からぼわっと立ち昇る瞬間がある。
そこをすかさず捕らえて脚本にするんです。

【2.5次元について】
そもそも旗揚げのころといいますから2000年代初頭です。
ウチの脚本には‟漫画原作”があるというシャレがありまして。
たとえば演出するときに、
「単行本の14巻57ページの表情ってそうだったっけ」とか
「第37話のカラーページの感じが出せないかナ」なんて。
だからウチがタカラヅカに並ぶ2次元演劇のパイオニアなわけで。
でもベルばら的なものは演りませんけどね。
ちなみにウチでは演出も合議制なんですよ。
とにかく天才とか権力者は不在なんです。

【再び脚本について】
ベルばらは演らないと書きましたが、
ロミジュリも演らないんですよ。
ウチらの演りたいものはそこじゃない。
代々の劇団員たちはその点では意見が一致してました。
でもまぁほとんどの高校演劇部はそうなんじゃないかな。
演るとしたらシェイクスピア作品のパロディとか。
有名な作品をアレンジした作品って枚挙にいとまはないです。
ウチにも『贋作 春琴抄』という作品がありますね。

初期作品にはSFチックなものが多いですね。
死神や魔法使いなどもそのころはまだ登場していました。
それが徐々にそういう‟便利な設定”を嫌いはじめ、
むしろ自分たちの創作に規制をかけはじめ、
やがては‟演劇実験”と称して遊びはじめます。
ある時は登場人物の一人が冒頭から終幕まで一切喋らない。
またある時は登場人物の一人が終幕直前まで舞台装置の下敷き。
音響効果を一切使わないプランだったり、
プレーンな照明だけで勝負してみたり。
舞台の可能性を拡張するという命題を追求する高邁な実験です。
しかしこれが他校には理解されない。
色モノだと認識されているらしい。
困ったモンですが。