2020年6月10日水曜日

劇団の活動の一端ですが

【脚本について】
劇団ERAは創作脚本を上演する演劇集団です。
これまでに50本以上の作品を生み出してきました。
創作の方法は作品ごとに事情が異なります。
ひとつとして同じ生まれ方をした作品はありません。
これからもそうやってあれやこれや試行錯誤するはずです。
まず集団創作であることは間違いありません。
誰かが自室にこもって書いたような作品にはなりません。
仲間が稽古場に集まって動いていく中で、
‟熱気”のようなものが床からぼわっと立ち昇る瞬間がある。
そこをすかさず捕らえて脚本にするんです。

【2.5次元について】
そもそも旗揚げのころといいますから2000年代初頭です。
ウチの脚本には‟漫画原作”があるというシャレがありまして。
たとえば演出するときに、
「単行本の14巻57ページの表情ってそうだったっけ」とか
「第37話のカラーページの感じが出せないかナ」なんて。
だからウチがタカラヅカに並ぶ2次元演劇のパイオニアなわけで。
でもベルばら的なものは演りませんけどね。
ちなみにウチでは演出も合議制なんですよ。
とにかく天才とか権力者は不在なんです。

【再び脚本について】
ベルばらは演らないと書きましたが、
ロミジュリも演らないんですよ。
ウチらの演りたいものはそこじゃない。
代々の劇団員たちはその点では意見が一致してました。
でもまぁほとんどの高校演劇部はそうなんじゃないかな。
演るとしたらシェイクスピア作品のパロディとか。
有名な作品をアレンジした作品って枚挙にいとまはないです。
ウチにも『贋作 春琴抄』という作品がありますね。

初期作品にはSFチックなものが多いですね。
死神や魔法使いなどもそのころはまだ登場していました。
それが徐々にそういう‟便利な設定”を嫌いはじめ、
むしろ自分たちの創作に規制をかけはじめ、
やがては‟演劇実験”と称して遊びはじめます。
ある時は登場人物の一人が冒頭から終幕まで一切喋らない。
またある時は登場人物の一人が終幕直前まで舞台装置の下敷き。
音響効果を一切使わないプランだったり、
プレーンな照明だけで勝負してみたり。
舞台の可能性を拡張するという命題を追求する高邁な実験です。
しかしこれが他校には理解されない。
色モノだと認識されているらしい。
困ったモンですが。

2020年5月9日土曜日

アフターコロナの演劇部

つらつら考えています。


今回の件で何が煩瑣ったいかって言ったら、
終わりが見えないってことですよね。
せっかく学校が再開して稽古ができるようになっても、
いつまた「緊急事態宣言」が発出されるかわからん。

公演に向けてそれまで積み上げてきたものが、
エライ人の眉一本で潰れてしまうんです。
(それはチト言い過ぎか)
私たちもここまででイベント4つ飛ばされてます。
『捨てられた島』は上演可能まで漕ぎ着けていました。
そこに費やした時間とカネは戻ってきません。
『13階の月光』の脚本創作にかけた労力は全部ムダになりました。
もちろん何の補償もない、あるわけがない。

これまでの稽古はだいたい↓こんなカンジでした。
放課後、部員が稽古場と呼ばれる教室に集合。
校内公演に備えて完全遮光、窓の開閉は不可。
基礎練習のルーティン、即興芝居、台本の小返し。
車座になって一日の反省。
狭い教室に毎日3時間も籠って練習してました。
(休日は9時間ですわっっっ)
集・近・閉の三点セット成立です。

従来の稽古スタイルをリノベーションしなけりゃいけないんですね。
これまでのようなやり方では立ち行かないのです。
固定観念の殻を喰い破るのです!
そう!土佐嵐高校の番場蛮のように!


キーワードは「お子様ランチ」です。
あるいは「ミックスグリルランチ」でもいい。
だって、エビフライも、スパゲティも、ハンバーグも食べたいじゃないですか。
ライス・日替わりスープ付きだったらなお嬉しいじゃないですか。
お腹いっぱいのてんこ盛りでなきゃ満足できない。

われわれの目指す方向はこれです。

ロックがやりたい! 歌も唄いたい! カッコイイ格闘技も! ダンスも!
そして忘れちゃいけないもちろんお芝居も。

んで、これらを組み合わせて1本の作品にするってどうですか。
「♫やりたいこと やったもん勝ち」の贅沢フル三昧で行きましょう。




地味な幕の内弁当じゃなくってね。
やりたいのはあくまで「ミックスグリルランチ」です。

これがどうしてアフターコロナ時代の演劇なのか。

高校演劇のレギュレーションでは1作品の長さは60分。
これを3つのメニューの組み合わせと考えます。
1ユニットがおおむね20分の計算です。
で、春・秋の発表会にはこのユニットを3本組み合わせて挑みます。
 第一部 ショートコント50連発
 第二部 歌謡&ダンスショー
 第三部 劇団ERAオンステージ2020

これを「明治座システム」と命名します!

あ、「8時だョ!全員集合形式」でもいいんですが。
種目(メニュー?)はなんでもいいんです。
ただメインはお芝居でなければならない。
ここだけは譲っちゃいけないですね。
だって、演劇部ですから!

ユニットに分割することで種目ひとつあたりの人数が少なく済みます。

小人数で稽古できるからナニかと小回りが利きます。
個人でこなせる練習は自宅に持ち帰ってやってもらう。
ユニット単独での発表機会も校内公演レベルなら比較的自由に設定できる。
1単位ユニットの上演時間が短いので複数回の公演も視野に入れて。

各ユニットに共通させるのは、

20分間で演者のデハケをなるべく多くすること。
舞台に同時に上がっている人数をなるべく少なくすること。
そして3本とも同じテーマに貫かれていること。
いぇ、制約が多いのってガイドラインがあるってことなんで、
創作の助けにこそなれ障害にはならないんですよ。
(こそ-已然形の逆接用法)

これまでのように60分かけて「おはなし」を物語るのでなく、
表現の断片をズラリと並べるスタイルです。
ジグソーパズルのようにパーツを組み合わせることで全体像が見えてくるシステム。
いわばイメージのコラージュ。
もうアンケートに「テーマはなんですか?」とは書かせない。
テーマが見えないなんてなんてあなたはおバカさん!
目指すのは脱・ドラマ演劇です。

2020年4月22日水曜日

あしたのために(その4)

=母音法=

この通信教育「あしたのために」は、
拳キチこと丹下段平さんの発案によります。
鑑別所に入れられた矢吹ジョーに、
左ジャブの打ち方をハガキで伝えました。

呼吸のコツはつかめましたか?
初めは手探りでいいんです。
なんとなくこんなかんじかな、で大丈夫ですよ。

よく演劇というと、
「わたしは滑舌が悪いからムリ~」
なんて尻込みする人がいるんですが、
もちろん滑舌がいいに越したことはありませんが
セリフの一音一音を粒立てることの方が大切かなって思います。
「一音落とす者は去れ!」(by劇団四季)という格言もありますね。

五十音表を意識的に読んだことはありますか。
ぜひ声に出して読んでみてください。
日本語の母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」の5つです。
それ以外の音も子音と母音とでできています。

では、言葉を母音だけで発音してみましょう。
え、と、つまりこういうことです。
「はじめまして」を「ha-ji-me-ma-shi-te」とローマ字で書いてみます。
ここから母音を抽出すると、「a-i-e-a-i-e」となりますね。
「はじめまして」なら「アイエアイエ」と発音するんです。
口の形を意識してください。

それでは練習してみましょう。

1)ゆるやかなリズム
2)やさしい音
3)流れる水と、噴き上げる水

いかがですか。
うまく母音だけを抽出できますか。
1)「ウウアアアイウウ」
2)「アアイイオオ」
3)「アアエウイウオ、ウイアエウイウ」

自分でも課題を見つけて発音してみましょう。

母音のみを発音したあとに、
もとの語句を改めて読んでみてください。
はっきりとして聞きやすい発音になっているはず、です。
たぶん。
初めは手探りでいいんです。
なんとなくこんなかんじかな、で大丈夫です!

ストレッチ動画はご覧になりましたか?
外出自粛が叫ばれています。
適度な運動は大切です。

何事も信じて継続することが肝心です。
あしたはどっちだ!


2020年4月21日火曜日

三密を避けたうえでの上演

え~とですね、
ウチら劇団を名乗ってますが、
その実態は言わずと知れた高校の演劇部です。
正式名称が長い(16字)ということもあって、
普段は劇団ERA名義で活動しています。
でも2002年の旗揚げ以来、
明日の演劇界のエースはウチらや!
という気概を持ってやってきました。

えぇ、もちろんわかってますよ、
演劇を本職としているプロに敵うはずないんです。
所詮は必死さ・真剣さが違いますから、
そこはリスペクトしてるつもりです。
「学生」という逃げ場があるウチらは、
やはりどこかで甘えがあるんです。

今回のことで演劇界隈がどうなってしまうのか、
逃げ場のない人たちはコロナ以後をどうやって生き抜くのか、
まったく予測がつきませんけども、
ウチらはウチらのできる範囲で演劇します。
ない頭を振り絞って考えてみました。
これまでの活動の中で、プロの方から学んだことなどを踏まえて。

え~まずは、習近平……?
いやもとい、「集・近・閉」な状況がダメなんですよね。
いわゆる三密というやつですね。
これまでのスタイルは全否定ですよ。
それでは、普段の稽古場である401教室での校内公演を想定します。

1)集
 完全チケット制を導入し、複数回の上演を行います。
 各回10名程度にお客さまを限定します。
 お客さまにはあらかじめマスクの着用をお願いします。
 また入場時には手指の消毒をお願いします。

2)近
 客席として置く椅子を2mの間隔にします。
 ステージと客席の間隔を確保します。
 役者同士が密接しない演出を採用します。
 そういう脚本を創作します。簡単に言うなよオイ!

3)閉
 暗幕は引きますが完全遮光はしません。
 照明効果を必要としない脚本を創作します。だからオイ!
 教室の窓を開けて換気に努めます。

開放された空間ということなら、
中庭で上演するという手もアリですか。
でもそれだとお客さまの密を避けることが難しいか。
もっとも集まれば、の話ですがね。
照明が使えないというなら、音響には凝りたいですねぇ~。
これまで以上にね。

あと、これが一番大事かなと思うんですが、舞台装置のクオリティ。
室内が明るくなるということは、粗が隠せないということですから。
テキトーな舞台装置にお客さまの意識を持って行かれないようにしないと。
近くに寄っても違和感のないリアルな舞台装置を目指します。
これまで以上にね。



発声練習とか、完全に屋外でやらなきゃあかんやつですね。
ソーシャルディスタンスを保ちます。
がんばっていきまっしょい!